著者: 雷歌/らいと
2020-08-18 22:40:55
855文字
Public ツイステ
 

【#twstプラスB / イデ監】はじめまして!のはずだった

■■■宅イデ監のお話は
「耳触りのいいその声が、好きだと思った」で始まり「腹が立ったから、脇腹をつついてやった」で終わります。
#こんなお話いかがですか #shindanmaker
https://shindanmaker.com/804548

 耳触りのいいその声が、好きだと思った。
 ぶつぶつと絶え間なく不平不満を呟いているのに、嫌になることもなくずっと耳を傾けられている声だ。自分にとってはちょうど良いトーンなのだろう。場所が場所なら眠りに誘われそうだ。
 無事にゴースト・マリッジの悲劇を回避し、ばらばらとそれぞれの寮へと戻る際になんとなく、一番の被害者の後ろを歩いていた。
 グリムはさっさと休みたいんだゾとか言って先に帰ってしまったのだ。薄情者め。
 ものすごく時々ではあるが、学園内でその姿を見かけたことはあるイデア・シュラウド。ここまでこの先輩と距離が近いのはおそらく初めてだろう。
 なんせ入学式の時でさえもタブレット端末で参加していた人物だ。エースやデュースにあの人知ってる? と聞いても答えは得られず。たまたまトレイ先輩と一緒にいる時にようやくその名を知れた。
 白状すると、ずっと気になっていた人物ではある。
 今、自分の真正面でゆらゆらと誘うように揺れ、心惹きつける綺麗な青。燃え盛っているかのようなこの髪は触れると熱いのか。
 伸ばしそうになる手をぐっと押しとどめ、思い切って声をかけてみた。
「ええと、イデア先輩?」
「ひぃっ」
 こちらを気にも留めていなかったのだろう。今気づいたと言わんばかりの怯えた反応に少しだけ驚く。この先輩に、何か害を成した記憶はないのだが。
「なん、なんですか噂の問題児氏。拙者の滑稽な姿を笑うために来たんでござろうそうに違いない。そもそも拙者を助けてもなんの得にもなりませんからなそれに──」
 おや、と首を傾げた。
 問題児になった覚えはないが、どうやらイデア先輩に認識はされていたらしい。それが少し嬉しい。これを機会に少しずつでも距離を縮められれば、と思うのだがさすがに厳しいだろうか。
 声を掛けただけで怯えられてるしな。
 言葉の途切れないイデア先輩を改めて見つめる。
 ずっとぶつぶつ言い続ける先輩の視界に自分が写ってないことに腹が立ったから、脇腹をつついてやった。

end.