冬灯夜
2023-05-10 20:47:02
451文字
Public ルミナリア
 

あいしてる

ルミナリア ガスリゼ短文
・まるで告解のように愛を告げるのが好きという話
・前後に繋がりはありません


「リゼット」
 私を腕の中に収めたガスパルは、髪を梳いたり背を撫でたりしてくる。
 反応するのが億劫で、目を閉じたままされるに任せる。
 何度か名を呼ばれたが、全て答えずにいた。ふと、ガスパルが手を止める。
「聞いてないよな、リゼット」
 耳元で低い声が聞こえた。強く、抱き締められる。少しだけ震えているような気がした。
 そうして暫くの沈黙の後。
……あいしてる」
 まるで、罪の告白のように。
 引き攣れて掠れた、痛みと苦渋に満ちた声で、ガスパルは囁いた。


  *


「あいしてる」
 そう吐き捨てたリゼットの声には、甘い色など一つもなくて。地を睨みつける顔は憎々しげに歪んで、握りしめた拳は怒りに震えていた。
 張り詰めた空気の中、沈黙が続く。
 不意に、リゼットが笑った。
「言ってしまえばこんなものか。は」
 顔を上げたリゼットは真っ直ぐに俺を睨む。 
「だからもう終わりだ。ガスパル」
 ぼろぼろと涙を零しながら、それでも退くことなく、切り裂くような声でリゼットは告げた。