の続きなのでこちらからお読みください
Isaさんありがとう
――軌道を歪めたのは、二発の金属音だった。
押し戻されるようにブレた剣先に、何か、赤い結んだ髪が揺れて割り込んで。
「レ
……」
違う。
目の前で息を荒げ、長剣を二挺の銃で受け止めているのは、僕の幼馴染みではなく。
「ガスパル
……!?」
リゼットの声が純粋に、驚きに満ちて響く。
レオの髪はもっと赤く、鮮やかだ。ガスパルの髪は暗い赤紫で、見間違える筈もないのに。
「悪いな、ユーゴくん。でも、俺は、こいつを死なせるわけにゃいかないんでね」
口の端を上げて、二重スパイの男は笑う。
「っやめろ、どけ! 大体お前、その傷で
……!」
「うるせえ!」
聞いて、随分ボロボロなのに気付く。
ここまで、どこにいるとも知れぬ中、戦場を潜り抜けてきたのだろうか。
『ユーゴ!』
あの時、ル・サントで追いかけてきたレオとセリアが浮かぶ。
リュンヌのピラーに再び戻ってきたレオが浮かぶ。
おかしい。ちっとも似ていないのに、どうして。
「大体お前は昔から自分を何だと思って!」
「お前こそ一人で勝手に決めやがって!」
力が抜ける。剣が手から離れて地面に落ちる。
バランスを崩したガスパルがよろけて、リゼットがそれを支えるのを見ながら、膝から崩れ落ちた。
ああ。何でだろう。レオとセリアを守りたくてここまで来たのに。結局レオに助けを求めて。
「シモン」
あれほど憎くて恐ろしかった声が、今は案ずる声だとはっきり分かる。どうして。憎いままだったら。何も知らないままだったら。
顔を上げると、やっぱり幼馴染みの姿が重なった。でもこれはきっと、視界が滲んでいるからだ。
レオ。セリア。騎士学校の人々。ロランス隊の二人。狼将に
――
関係ないことばかりだ。さっきまでたった二人で、終わる所だったのに。
「
……シモン、私は」
静かだった薄鈍色の瞳が、今は酷く揺れている。これもきっと視界のせいだ。
「あなたにも」
笑った。どうしてだか分からないけれど、笑うしかなくて。
なのに、視界はますます滲むばかりで、喉が引きつれて声が震えた。
腕を掴んで支え合う二人。
「
……あなたにも、大事な人がいるんですね」
僕と同じように。
命を懸けて守りたい人が。
笑いのような、嗚咽のような。どちらともつかずに、僕はただ蹲った。
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