眠りに落ちる時、深く沈むのは稀だ。
大抵は浅く、傍に気配があれば密かに確かめる程度のことはする。
けれど今朝は、そうしなかった。
布団の中に潜り込んでくる気配。確かめるのが億劫で、敵意を感じなかったことと、この部屋には仲間たちしかいないこと。理由など、いま探せば
――億劫なままでいいか、と思ってしまったことに尽きる。
胸の前で止まったと思えば上がり、下がり、気配はどうにも落ち着かない。低い呻きのような声がする。どうやら寝惚けているらしい。
枕でも探しているのかと、何とはなしに腕を広げてやると、ごそごそした気配はそこにぽすりと納まる。気に入ったのか、腕を伸ばし、身を寄せてきた。
ほんのりと、冷たい。
けれど腹の辺りに置かれた腕が、じんわりと温もっていく。それが無性に心地よくて
――同じように、腕を伸ばしていた。
肩から背の辺り。骨の感覚。先程よりも近くなった寝息が、どこかくすぐったい。
ああ、朝がもう少し遠ければいいのに。
じわじわと同じ温度になっていく柔らかないきものを、もう暫く。
まどろみの中で、願って、力を抜いた。
気付くと腕の中が温かかった。
……そういえば明け方に気配があった。それを確かめもせず二度寝したのだった。
弛んでると叱咤する声と、どうせカロルだろうと楽観的な声がする。
実際、腕の中の温度は心地よく、もう少し、と思いそうになる。
まあ寝惚けて抱き着いてきたなんて、あの年頃の少年には少々気恥しいことかもしれない。どれからかいついでに起きてやろうか。
「カロ」
開けた目に飛び込んできたのは、淡紅色の髪。
「
……、」
理解が出来ない。
……。
……?
…………?!
「?!?!」
理解が出来た。
よし落ち着け俺。うるさいぞ心臓こんな時ばかり主張するんじゃない。落ち着いて状況を確認しろ。
目の前というか腕の中でエステリーゼが眠っている。ほやりと緩んだ口元。かわいい。
違うそうじゃない。
明け方のあれは彼女で俺はろくろく確認もせずに眠りこけて、そもそも何でエステリーゼが、寝惚けたかそうかそうだなそれしかないな。
何だかいい香りがするのは石鹸か何か、ってだからそうじゃない。
このままならば待っているのは確実な制裁だというのに、身体がぴくりとも動かない。
俺を枕にするエステリーゼは、穏やかに寝息を立てている。
そのあまりに幸せそうな表情とぬくもりに、何もかもを忘れてしまいそうなほど、胸が詰まって。
ただひたすらに、エステリーゼを見つめることしか出来なかった。
何となく幸せだった。
あたたかいものに身を寄せると、ふわりとあたたかさが増した。
心地よい重みと、傍にある気配。
何となく、ではない。
とても幸せだった。
耳の下から、穏やかな振動が伝わってくる。ずっと聴いていたい。感じていたい。
ぴたりとくっつくと、やさしく全身を包まれる。
これは
――そう、こんなに安堵したのはいつぶりだろうか。
この気配が離れていかないことが何よりも嬉しくて、そのまま心地よいまどろみに身を任せた。
#ふぁぼした人の文章を自分の文体でリメイクさせていただく の絵ver
ゴサ動さんありがとうございます!!
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