冬灯夜
2018-01-07 00:06:06
761文字
Public ザレイズ
 

それだけの日

・TOザレイズ フィベル+地兄妹
・フィーとエドナがキッチンで何かしてるらしい

 自分よりも上手く作れる者がいるなら、それに投げてしまう方が合理的だ。何より疲れない。
 それだけのことであって、そも作れないわけではないのだ。
「エドナ、用意出来たよ」
 幼い声がエドナの思考を切る。
「そう、こっちもよ」
 手元には泡立てたクリームが出来上がっている。多少思考を逸らしても出来上がる、流石ワタシ。自画自賛しながら、エドナはライフィセットが切った果物の横にボウルを置いた。
「わ、いっぱいだね」
「そうかしら?」
「うん。張り切ったんだね。アイゼンも喜ぶよ」
……それ、全部は乗り切らないんじゃない?」
 張り切ってるのはどちらだ――と普段なら皮肉交じりに返してやる所だが、結局エドナは言葉を濁した。張り切っているのは、確かだ。
 兄に関してだけは、自らの想いを誤魔化すことはしない。してやるものかと、霊峰の如く山になったノル様人形の前で誓ったのだ。
……余ったらデザートに食べよう!」
「ケーキの後にデザートね」
「うう、笑わないでよ……だって、ベルベットにいっぱい、食べてもらいたくて……
 この少年は、ただただ彼女を想う。世界がどこでも。手紙で漏れ聞いた、彼らの結末でも。そしてエドナが知る1000年の間も。
「さ、ちゃっちゃとやるわよ、ボーヤ。死神の呪いで顔面ケーキになっても泣かないことね」
「泣かないよ。笑ってあげるから」
 今日は何でもない日。ただ、大事な人においしいケーキを作ってあげる――それだけの日。




……あんたノル様人形ポケットに詰めてなさいよ。台無しにしたら許さないわよ」
「ふん、既に満杯だ。お前こそ一人で食い尽くすなよ大喰らいめ。……おい待てライフィセット、その位置は近い、離れろ」
「フィーは紳士だから大丈夫に決まってるでしょ、前菜にするわよあんた」