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冬灯夜
2015-08-27 00:37:21
2158文字
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テイルズ色々
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誕生日神子んび
TOS 神子んび
・コレットの誕生日にゼロスがぐだぐだ思考する話
「誕生日、おめでとう!」
「一日早いけどね」
勢い込んだロイドの言葉と、冷静なジーニアスの言葉に笑いが広がる。
あの世界再生から二年、もう一度世界の危機を救って更に一年。
それぞれでは会うことはあっても、全員集合はなかなか出来なかったこの一年、久方ぶりに集まったのはコレットの誕生日が近いからだ。
「ありがとう、みんな」
明日の誕生日当日はイセリアで、明日まで入れない面々は今日、コレットの誕生日を祝うことにしていた。
皆が思い思いに渡したプレゼントを手に、コレットは笑う。
「えっとね、私もみんなにお土産あるの」
「何だい、コレットのお祝いなのに」
「まあ、いいのではなくて? コレットらしくて」
そうしてカバンから取り出された土産の数々、流石は神子として世界各地を万遍なく廻っているだけのことはある。犬グッズが紛れているのは間違いなく趣味だろうが。
祝ってるんだか、祝われてるんだか。
苦笑しながら、和みながら、小さな宴は続いてく。
「ゼロス、寝ないの?」
明日の出発は早い。お開きになった宴の後、ベランダで涼をとっていた俺に、コレットが話しかけてきた。
「そういうコレットちゃんこそ」
「嬉しくて、明日も楽しみで眠れなくて」
えへへ、と舌を出す様子は、相変わらずだなと思う。
「遠足が楽しみなこどもみてーだねぇ」
「うん、そだね。お父さまとおばあさまに会うの、久しぶりだから」
今日みんながお祝いしてくれたのもすっごく嬉しくて、と補足されるが、それはもう見てたら分かる。
家族に会えるのが楽しみだと、コレットはてらいなく言う。照れるでもなく、ただただ純粋に嬉しいと。
俺には、単純には言えない言葉だった。
父にも、死んだ母にも、妹にも
――
言わなきゃダメだと言ってくれたのは誰だったか。
妹に言えないのは負い目のせいだが、父には、さて。
……
シルヴァラントでは、神子の父親は天使だと教えられていたと聞いた。それでも尚、コレットの「お父さま」の響きには、愛情が籠っている。血が繋がっていないと思い込んでいても、その誤解がなくなった今も。
ちなみに俺はそれを聞いた時、全力で「ねーな」と思った。
一番身近に居た天使が、あの無愛想無気力野郎だったというのも少なからずある。
…………
うん、ねーな。ねーわ。
そして俺は、腹が立つほど父親に似ているようだ。顔よりも何よりも、雰囲気が似ている、とそう言われるのが一番嫌いだった。
「ゼロス?」
気付くと、コレットに顔を覗き込まれていた。
いけね、ついぼーっとしちまった。
「ん、ああ、ちっと酔っぱらったかもしんない」
「大丈夫? 具合悪くならない内に寝ないとダメだよ?」
「へーきへーき。楽しい酒だったしな」
悪酔いしない酒は楽しい。
何かを紛らわす為でなく、気の置けない仲間と飲む酒は、楽しい。
「そか。わたしも楽しかったよ」
「本日の主役にご満悦いただけて何より」
楽しそうに笑うコレットに、満更でもなく笑みを返す。コレットが楽しそうでない方が珍しいといえばそうだが、やはり彼女の笑顔は肩の力を抜いてくれる。
「ゼロス、ありがとね」
「ん?」
「花束、すっごい嬉しい」
「ああ、それ」
オレがコレットに渡したのは、手よりも少し大きなサイズの花束だった。
イセリアに近い場所ではあるが、あまり荷物になるのも、と考えた結果のこのサイズ。
定番もド定番、だがしかし、ロイドやガキんちょジーニアスでは出てこない発想だろうと踏んだ。
誕生日に花束、ベタと笑わば笑えばいい。きっちり決まればそりゃあ格好いいことこの上ない。
唯一、こういう気障をやらかしそうな男、リーガルにだけは事前確認をとってある。幸いレザレノ社の新製品クッションをいち早く、とのことだったので被りは無事回避された。無論ロイドやジーニアスは花束でなかった。
「こういうのはやっぱ、様になるいい男がやんねーとな?」
「うん、びっくりしたよー。かっこよかった」
真正面から言われると、やべえな逆にかっこつかねえぞ。
「ま、ほら、ロイドくんはこういうのやんなそうだからね」
「そだね、お花もらったことは
――
……
あ、ちっちゃい時に花冠もらったことあったよ」
「かー、幼馴染はこれだから」
大げさに嘆いてみせる。
ああ、穏やかだ。星が綺麗だなんて、口説き文句顔負けの感想が夜空に浮かぶ。
「でも、花束は初めてだったよ」
空からコレットに視線を戻す。
「何だかね、大人になったみたいだった」
ほんの少し、照れているような声。三年前はあまり聞かなかった。
「ありがと、ゼロス」
そんな風に言ってくれるなら、多少恰好つけたかいは、あったろうか。
今や、そしてこれから先、唯一の同胞であるコレットが、大人になれてよかったと笑うなら。
「おめでとう、コレットちゃん」
感慨を込めて、もう一度。
こくりと頷いてコレットは笑う。
ああ、その笑みだけはずっと変わらない。変わらないでよかった。
三年の変化に思いを馳せながら、自然と笑みが浮かぶ。
夜風の心地よさをきっと、これから先俺は何度も思い返すだろう。
おめでとうございます!!
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