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冬灯夜
2015-07-04 23:34:25
1875文字
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その他
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笹の葉に飾るもの
#NP版深夜の真剣創作60分一本勝負 参加作品
企画アカウント様(@NP_1draw)
お題『七夕』
歪アリでアリスと猫女王(女王不在)
「猫も吊るすかい?」
なんて訊かれて、一体誰が「うんそうだね!」と言うと思うのか。
わたしか。わたしが言うと思ってるんだろうな。
わたしの手には短冊、目の前には笹の葉。と、猫ことチェシャ猫の生首。
「吊るさないわよ」
「遠慮しなくていいのに」
これっぽっちもしてない。
最早お決まりになった応酬をして、わたしはため息をついた。
明日は七夕。
叔父さんが知り合いの所から笹を貰って来てくれて、おばあちゃんと短冊を切って、飾り付ける準備をしていた所だった。
笹の葉の音って癒されるなあ、なんて思いながら上機嫌でいたら、その上からチェシャ猫が降ってきたのだ。相変わらず心臓に悪い登場の仕方をしてくれる。
「何してるんだい」
「あのね、チェシャ猫。びっくりするから降ってきたり飛んで来たりするのはやめて?」
「そうかい?」
猫は跳ねるものだよ、とチェシャ猫は首を傾げる(どうやってだ、でも確かに傾げてる)。
「これはね、笹よ。七夕っていって、これに短冊を吊るして願い事をするの。
で、天の川に届ける為に、七夕が終わったら川に流したり焼いたりするのよ」
天の川で別れ別れになった夫婦が云々、の話は省略。
そういえば、何がどうなってこの悲恋ぽい話が願い事の話になったんだっけ
……
ええと。
何かの本で読んだ記憶を引っ張り出そうと頑張ってると、じゃあ、とチェシャ猫が明るく言った。
「猫も吊るすかい?」
と。
「何でそうなったの
……
」
「焼くんだろう? 猫は焼いてもおいしいよ」
「笹も短冊も食べる為に焼くんじゃないの!」
焼くという部分しか聞いてないのだろうか。流すとも言ってるんだけど
……
あ、ダメだ。この前、流しそうめんをやったら、叔父さんたちが見てない隙に流れようとして、わたしだけが大変だった。
「願い事も、僕らのアリス、きみが望むなら。ササやタンザクよりずっと効くよ」
「
……
うん、そうね、効きそうではあるけどね
……
」
笹に吊るされてぶらぶら揺れながら、にたにた笑ってるチェシャ猫の首を想像する。
シュール。そしてホラー。
慣れちゃって忘れかけてたけど、猫(見た目は人)の生首なんて、そもそもがホラーだった。
「首を吊るして飾る趣味はわたしにはないわよ」
あ。
言ってから、気付いた。
「どうしたんだい、アリス?」
くすりと笑いが漏れた。
「首を吊るすなんて、女王さまのお城みたい」
主に置いて飾ってあったけど、多分どこかに吊るしてあるインテリアもあったんじゃないかな。
女王さまは首が大好きだ。
「女王なんて願い事しても役に立たないよ」
不機嫌な口調で猫は言う。にたりと笑ってる口元は同じなのに、あからさまに不満が見えるのだから不思議だ。
「アリスは首にされたいのかい? 今だって女王は首が好きだよ」
「ううん。チェシャ猫の首も相変わらず嫌いなのかしら」
「僕も女王は嫌いだからちょうどいいよ」
うーん。相変わらずみたい。
……
チェシャ猫は、あの国に今も出入り出来てるんだろうか。
「みんな、元気かな」
マイペースで、自分勝手で、時々こわくて、誰よりもわたしに優しい、あの国の住人たち。
わたしが愛して、わたしを愛してくれる、大事な大事な彼ら。
「
……
僕らのアリス、きみがそう望むなら」
少し俯いたわたしに、チェシャ猫がそっと声を掛ける。
そう、わたしが望むなら。
彼らが、わたしにそうあって欲しいと願うなら。
「うん。そうだね」
わたしは前を向く。
揺れる笹の葉と、まだ空白のある短冊。
願い事は決まった。
わたしにも、祈りは許されている。きっと、彼らはその祈りを許してくれる。
『みんなが、元気でありますように』
「ほら、チェシャ猫、こうやって切り抜くとトランプみたいじゃない?」
「そうだね」
「女王さまが見たら、この子たちも部下にしちゃうのかしら」
「首だけのトランプなんて役に立たないよ」
「そりゃそうだけど」
「あの首狂いはアリスが気に掛けなくたってずっと首狂いだよ」
「
……
ほんとあなた、女王さまには好戦的よね」
「アリスが気に掛けるから調子に乗る」
「どっちかって言うとヤキモチ
……
?」
「ヤキモチって猫よりおいしいのかい」
「まあ、時と場合によりけり、かしら
……
犬も食わないとはいうけど
……
」
「猫はおいしいよ」
「分かった、分かったからわたしは食べないし首だけになるつもりもないから、ね?」
短冊はうちの地域は焼いてました
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