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冬灯夜
2015-01-24 21:21:28
2864文字
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テイルズ色々
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ブレイカーな二人
TOWRU 神子んび
・テルン編終盤あたり
・多分そんなにネタバレてはいない
・レーヴァリアという世界に来た時点で、全員記憶を失っているものの、人格は変わってません(=本人)
わ、と思った時にはもう遅い。
どがんと派手な音を立てて、目の前の壁が倒壊した。
正確に言うと、自分のせいでぶち抜かれた。
家の中に居たルフレス達が空中で右往左往する。可愛いなあ。ごめんね。
何体かは音と衝撃で逃げ、残る何体かは恐々とこちらを窺っている。
「おいおい、大丈夫かコレットちゃーん?」
心配とやや呆れを含んだ声がして、目の前に手が差し伸べられる。
「うん、だいじょぶだよ。ありがと、ゼロス」
ありがたくその手を借りて、立ち上がった。
鮮やかな赤い髪に、それを引き立たせる白と薄紅の服のセンス。そして、胸元の赤い石。
お洒落だなあ、とついつい観察してしまう。
「いっつも思うけどさ、よく平気だねぇ」
「うーん
……
私、きっと丈夫なんだよ」
「いや絶対そんな問題じゃねぇし」
埃を掃いつつ、まだ周りに残っているルフレス達に謝る。
大丈夫気にしないでと口々に言われたけど、そそくさと修理の材料を取りに散って行ってしまった。
「またやっちゃったなぁ
……
」
「
……
コレットちゃん、これ何個目?」
「え? えーと、家の壁は三つ目で、街の周りの木が幾つだったかな、地面や橋は確か」
「あ、ごめん、いいわ。聞くの怖い」
「そう?」
帰って来たルフレスから資材を受け取る。せめて風が入らないようにしないと。
けど、金槌を手にした所で、横からそれを奪い取られた。
「手伝うよ」
「いいの?」
木材押さえてて、というゼロスの言葉に従って、上の方を押さえる。
とんてんかん、とんてんかん。
リズミカルに釘が打ちこまれて、あっという間に壁の穴は塞がった。
「ありがと、ゼロス」
「そりゃあもう、かっわいいコレットちゃんの為なら、オレ様頑張っちゃうぜ~?」
でひゃひゃ、といつもの笑い声をあげた後、ゼロスは不意に眉を寄せた。
「
……
ほっといたら、また増えそうだしな
……
」
「?」
首を傾げて、周りをふわふわ飛んでいたルフレス達に目を遣る。
一斉に違う方向を向き始めた。何でだろ。
「増える
……
ルフレスさん達が?」
「あー、あーどうだろうなー、オレ様そこら辺よく分かんねーし」
「でもまた増えるって
……
私が壁に穴開けちゃったから、それを補う為にルフレスさんが増えるの?」
「
……
ま、まあ、人の記憶から出来たもん壊したら、新しくまた補充するかもしんねーけど」
「そっかぁ
……
どこで生まれるのかな。名前つけちゃダメかな」
付けたいな。ここのルフレス達はもう名前があるみたいで、ダメって言われたけど。
何がいいだろう。ポチタロウさん。クサモチさん。うーん。
「名前は育み手が付けるんじゃね?」
「そか。残念だなぁ」
さよなら、ポチタロウさんにクサモチさん。元の世界に帰ったら、つけてあげるからね。
元の世界。そうだ、元の世界にも、ルフレスさんみたいな子たちは居るのかな。
ふかふかでほわほわな。
「どんな所だったのかなぁ」
「んあ?」
独り言に、ゼロスが反応する。
「私たちが元にいた世界ってどんな所かなって思ったの」
「え、今どうやってその思考回路に到達したの
……
って、私『たち』?」
「うん。ルフレスさんに名前つけられないなら、他の子たちに付けたいなって。その為にはルフレスさんみたいな子が元の世界に」
「そこじゃない、いやそこじゃないから!」
「? どうやって、って訊かれたから」
「いいよ! 何となくわかった多分! それより『たち』ってさ、オレ様とコレットちゃんが同じ世界から来たって思ってるの?」
「うん」
ぱちり、とゼロスは瞠目した。
やがてゆっくりとその目は細まり、半分ほどの所で留まる。
「
……
まあ、そっか。同じのつけてるもんな」
反射的に、そして殆ど同時に、私とゼロスは胸の石に触れた。
「どんな所だったんだろうねえ」
私が、やらなきゃいけないことを残した世界。
どんな人たちがいるんだろう。『みんな』はどう過ごしているんだろう。
「すんげえ悪い所だったらどうする?」
少しイジワルな声色で、ゼロスが問う。
みんなが嫌な思いをする所だったら。もしも、そうだったら。
「私が頑張るから大丈夫だよ」
変わらないの。
私にしか出来ないことがあったから、だから、どんな所であっても、みんなを助ける為に。
「だからゼロスも、大丈夫だよ」
安心して欲しくて、笑う。
ゼロスが『全部壊れちまってもいい』なんて言わなくていい世界に、きっとするよ。
目を見開いて、今度はそのまま、ゼロスは固まった。
青い、青い、空のような目。
ぐるぐると回るのは雲のような雨のような、ああやっぱり空みたい。
「
……
よせよ」
じっとゼロスの目を見ていると、冷えた声がした。
「悪い所なら
――
嫌な所だったら、捨てちまえばいいじゃねえか。何でコレットちゃんが背負ってやる必要あんのよ」
なんで、オレたちが。
最後の呟きは、無意識のようだった。
「きっと、大切な人がいるからだよ」
ゼロスの胸の石に、手を伸ばす。
「ゼロスにもいるよ。ゼロスも、私の大切な人なんだよ」
石を握りしめていたゼロスの手に、触れる。
……
ああ、何でかな。こうやって誰かに触れるのが、とても、とても、懐かしくて愛おしい。
ずっと、こうしたかった。
「
……
はは」
小さく、力なくゼロスは笑った。
顔を私から逸らして伏せる。
「
……
あーあ! 悪い所だったら、オレ様がコレットちゃん助けてあげるよって言おうとしてたのになー!」
今度は空を見上げて、ゼロスは明るく笑った。
まだ、顔は見えない。
「えへへ、ありがと」
「どういたしましてー。でも口説き文句潰されちゃって、オレ様ショック」
「えっ、私また何か壊しちゃったの!?」
「あ、うーん
……
あえて言うなら、空気かなー
……
」
空気が
……
壊れる
……
!?
知らなかった、空気も形があるんだ!!
急いで直す所探さなきゃ、と走り出しかけた私を止めて、ゼロスは私の頭に手を遣った。
「ありがとね」
「? どういたしまして」
ぽんぽん、と優しく叩かれて、手が離れる。
「おっけ、大丈夫、もう治ったよ」
「え? ほんと?」
「本当本当~」
だからお茶でもしようよ、というゼロスに、私は笑って応えた。
次の日。
「
…………
なあ、ロイドくん」
「ん?」
「あれ、あの壁、元の状態に戻らないってことは、あの修復した感じが正常ってことだよね」
「そうなのか? オレ難しいことはよく分かんねーや。でも、あの人型が普通って、何か凄いな!」
「ああ
……
そーだよねぇ
……
あれが『よくある』レベルで人の記憶にあるのねコレットちゃん
……
」
「あれコレットなのか! あ、よく見たら羽の形もあるな、すげえ! カッけええー!」
「ロイドくんに聞いたオレ様が馬鹿でした」
タクユニおよびユナイティアの設定はおいしすぎて楽しいです
素敵な絵をありがとうございました
……
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