冬灯夜
2014-04-12 01:56:17
1069文字
Public TOV
 

君から

TOV レイエス
・既に出来上がっている(ED後)
・短い

「レイヴン」
 何か決意を込めた目で、エステリーゼはレイヴンを見詰める。
 肩に力が入ってるのを見て、何事かと姿勢を正した。
……どったの?」
 が、いつまで経ってもエステリーゼは動かない。
 尋ねてみれば、う、と一瞬詰まったような声を出した。
「えっと、その」
「うん」
……えっと」
 エステリーゼは俯いてしまった。困ったように視線を彷徨わせている。
「どーしたのよ。何か言いにくいこと?」
 どうやら公務や任務で重大なことがあった、というわけではなさそうだった。
 レイヴンはエステリーゼの頭を軽く撫でる。さらさらした指通りが心地よい。
「決めたんですから……ええ……
 呟いて、ぐっと手を握りしめる。
「レイヴン」
 エステリーゼは顔を上げ、両手を重ねてレイヴンの顔の前に持っていく。
「なーに?」
「動かないでください」
「え、はい」
 真剣な声色に思わず敬語になった。
 視界が塞がれる。目の周りに触れる素肌が、ぼんやりとぬくい。
「じょう、」
 もう一度問いかけようとした時、唇に柔らかいものが押し当てられた。
 一瞬レイヴンの思考が固まる。
 覚えのある感覚だったが、それよりも驚きの方が勝った。
 そうこうしている内に唇から柔らかさが離れ、視界を覆っていた手も外された。
 エステリーゼはあらぬ方向を向いて、顔を赤くしている。
……エステリーゼ?」
「な、んですか」
「こっち向いてくんないの?」
 レイヴンの声は柔らかい。それがむず痒くて、エステリーゼは口元を覆った。
「やです」
「えー」
「だって、目、見たら……恥ずかしいです……
 完全に顔を覆って、消え入りそうな声でエステリーゼは呟く。
 ふと影が差して、エステリーゼは抱き寄せられていた。
 丁度レイヴンの肩に額が当たる位置へ。
「これなら顔見えないからいいでしょ?」
「ぅ……はい」
 レイヴンは優しく頭を撫でる。顔は見えないが、髪をかき上げると耳まで真っ赤なのが見えた。
……あー。どうしよ。すっごい嬉しい」
 既に何度か経験している。
 けれどエステリーゼから唇を重ねてきたのは、これが初めてだ。
 目を見るのも恥ずかしいくらいなのに、勇気を出してくれたのだ。
「可愛い」
 耳元で囁くと、エステリーゼはただ、ぎゅっとしがみついて来た。
「可愛いよ」
 もう一度言うと、呻く声が聞こえた。
……レイヴンのばか」
 そんな答えも可愛くて堪らないのだけれど、言葉にはせずに、強く抱きしめた。



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