姫鶴一文字は審神者の執務室で寝転んでいた。けしてサボっている訳では無い。審神者が体調を崩しているため、今日の近侍である姫鶴が世話をすることになっていた。
「ねぇ、その姿かぁいいね。ずっとそれでいればいいのに」
「前はそうでしたよ〜」
くた、とクッションの上で丸まった黒猫は姫鶴が伸ばした手に大人しく背を撫でられながら口を開く。
「なんで今は人間の形になってんの?」
姫鶴がこてんと首を傾げると、黒い化け猫はふたつに裂けた長くしなやかな尾をしゅるんと姫鶴の手首に絡ませ、それぞれ色の違う目で姫鶴を見上げた。
「他の男士たちには言わないでくださいね?……昔からずっと、わたしは私の主と同じ目の高さで、同じ歩幅でものを見て歩きたかったんです。だから今は、あなた達と同じ高さでものを見て同じ歩幅で歩いてあなた達と色んなものを一緒に見て、それで今度は私の主がわたしを愛してくれたのと同じように、あなた達を愛そうと思ったんですよ」
まあそれでも人間としての身長は短刀ちゃん達よりちょっと大きいくらいなんですけどね〜。と微笑む主を見て、姫鶴一文字は思わず額を抑えて天を仰いだ。
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