香春 蘇葉
2020-06-10 02:11:46
2344文字
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【Error】

現パロ。幼馴染のシオサン。腐れ縁とルームシェア、互いの性欲処理にセックスと思っている👡に対して…?

「結局、ルシオってサンダルフォンの何なの?」

午後十二時。多くの生徒でごった返している、サンダルフォンが通っている大学の、安くて量が多い学食。その、片隅。雑多に置かれたロングテーブルの角に対面になるようにして座ったグランが、胡乱げに眉を上げながら口にしたその一言に、サンダルフォンは牛丼を頬張ろうとしたそのままの姿勢でぴたりと動きを止めた。ちらり、とグランを見た彼は、そっと箸で掬った牛丼をどんぶりの中に戻すと、身を起こして不機嫌そうに眉を寄せる。

「何のことだ?アイツは俺が生まれた時から家族ぐるみの付き合いをしている、ただの腐れ縁だ」

「幼馴染ってだけで同い年でもないのにルームシェアして、ご飯つくってあげて、洗濯もたまにしてあげて……しかもセックス?」

もぐり、とようやく口に含んだ牛丼が、グランの最後の一言で、盛大に噴き出された。その全てを被弾したグランは、うわ汚い!と咄嗟におしぼりで顔を拭きながら、くぐもった声で性懲りもなく続ける。

「付き合ってるんじゃないの?」

「いや、それはない。セックスもしてはいるが、あれは体の相性がよかったから、互いの性欲処理にしているだけで、全く他意はない」

「はぁ……?それって、ルシオもそう言ってるの?」

聞かれてサンダルフォンは、徐々に冷えゆく牛丼へ嘆かわしげに眉を寄せて視線を落としながら、つい昨晩体を重ねたばかりの渦中の男を思いだす。サンちゃん、と甘やかな声が自分を呼んで、決して独りよがりな行為はしない彼の、優しい律動と、体全体を這い回るような快楽が脳裏に浮かんで、にわかに体が熱くなった。それを誤魔化すようにして、咳払いをすると、サンダルフォンは苦し紛れにアイツの意図は知らん、とだけ返す。

「いや、そこ確認しとこうよ……仮にルシオが、サンダルフォンと違って誠実に、未来のこと考えてたらどうするの?」

……別に、今と変わらないだろう」

「いや変わるって。想像してみてよ。ある日突然、ルシオがリングケース持って玄関先に待ってて、君が帰ってきたと同時に結婚して、なんて言ってくる……

あくまで、想像は想像だろうが、一応情景を思い浮かべて、更にその中に自分の知るルシオの言動を組み込んでいく。そうして、一通り考え終えたサンダルフォンは、ひとつ息をつくと、皮肉げに笑いながら、やれやれ、と言った風に首を大仰に振って見せた。

「それこそ、ない。あんなに引くて数多なんだ。俺の他にも候補はいるだろうし、そもそも俺は、アイツに恋愛感情など抱いてはいない」

どうせ、グランの想像に収まる陳腐な仮定だ。そう思い込んで、彼が知らないよ、と言ってミートドリアにがっつき始める姿に倣い、すっかり冷えた牛丼を眉間のシワを増やしながらもぐ、と咀嚼する。自分だって、幼なじみの腐れ縁以上の感情はないのだ。きっと自分以上に感情の処理がうまい彼には尚のことだろう。

と、帰るまでは思っていたのだが。

玄関のドアを開けて、目線を伏せながら入った部屋の中。靴を脱ごうと身をかがめるよりも先に、眼前に突き出されたそれに、サンダルフォンは大きく目を見開いた。

「サンちゃん、これを渡すとき意味、貴方にはわかりますよね」

……すまない。全くわからない」

え、と真剣そのもののルシオの口から気の抜けたような声がして、呆然とした蒼い瞳がサンダルフォンを見た。視線を向けられた当人はと言えば、全く意に介したようもなく、のんびりと靴を脱いで、綺麗に並べるまでしている。サンちゃん?と消え入りそうな声でルシオが呼べば、赤い瞳が微かな首の傾きと共にそちらを見やる。

「今日の夕飯か?キーマカレーにしようと思っているんだが」

「いえ、サンちゃんそうではなく、その……

「なんだ……珍しく煮え切らないな?言いたいことがあるならさっさと言ってしまえ」

「私たち、付き合ってましたよね」

は?とサンダルフォンは動きを止めた。全く心当たりがないといったその表情に、全てを察したらしいルシオは、徐に渡すはずだったリングケースを玄関先のシューズラックの上に置くと、強い力でサンダルフォンの手を引いて歩き始める。今まで見たことがないほどの怒気昇る背中に、何も言えずに黙り込んでついていくと、ルシオの部屋に入ったところで、ベッドの上へ放り投げるようにして腕を振られて、堪えきれずにサンダルフォンは倒れ込んだ。目を白黒させながら、彼を見上げれば、広げた脚の間に膝を押し進めつつ、彼が身をかがめる、唇を近づけてきた。くち、と深々と重ねられた唇の隙間から、無遠慮に舌を差し入れられて、かき回される。その刺激にピクピクと体を震わせながら、硬く瞑目して、いつもの通りにルシオの両肩に指先で縋り付けば、やや強い力で舌先を噛まれた。んん、と悲鳴を上げて、力が入らなくなる腰を自覚している間にも、彼の膝頭は意地悪くサンダルフォンの脚の間を、圧し摩る。

「私はいつだって、貴方を愛おしいと思って抱いていました……でも、違ったんですね」

ようやく解放されて、だらりと身を横たえたベッドの上。天井を背負って彼の冷淡な瞳が歪む。

「サンちゃんがわかってくれるまで、嫌と言っても続けますから」

覚悟してください。身を屈めた彼が、そう言ってこめかみに唇を押し付けてくる感覚に、じわりと沁みるような刺激を感じながら、サンダルフォンは他でもない、自分の選択や認識が全くの間違いだったことを知る。

翌日、首に包帯を巻いて、吐息のような声しか出せないサンダルフォンの、左手の薬指に、きらりと光る指輪を見つけたグランは、僕言ったよねぇ、と呆れたように半目になった。