yossy
2022-02-01 22:51:33
1487文字
Public 自創作
 

薄氷と立春前

清さんのお誕生日SS
みんなで銭湯に行く話

誕生日の記念すべき日に、
清は銭湯に来ていた。
別に風呂が壊れたわけではない。
なんとなくのノリで来ていた。

行きつけの地元密着型の銭湯。
刺青があっても入れる唯一の場所。
というのも複数の組との協定で、
この銭湯に入れさせてもらう代わりに騒ぎを起こさない、ある程度の時間帯を決めて入る、名前を呼ばない、もし騒ぎが起これば指を詰めるといった取り決めが結ばれていた。
他の風呂屋だと刺青NGで入れないことがしばしばあったが、ここだけはおかみさんのご好意で入れさせてもらっている。
外国人もちょくちょく目にするくらいだ。(他の組織の奴だろうが)

そして、そんな憩いの場所に。
「懐かしいけど、この時間帯に来たのは無いかな」
「男湯で合ってるよー!お姉さん心配しないで!」
……(そわそわ)」
「昔、おじさんに連れてってもらったな
全員来ていた。
というのも。

「誕生日パーティー前に銭湯?なら俺も行こうかな」
「クソ寒いからお湯に浸かりたい」
「乾燥凄いから、潤いにあたしも行きたーい!」
「皆さん行くなら

そんなこんなで団体入場である。
とっとと脱いで浴場に入る。
昼間の平日だからか、比較的人が少なく快適だった。
ひよこの行列のように他の連中が付いてきては横に並ぶ。
二対の黒龍と白龍、薔薇、羽の刺青とガタイのいい哲を見た他の客の視線が集まる。
気にせず据え置きのシャンプーやらリンスやらを使う。
………
「ちょっと!シャンプーちょうだい!うちのとこ無いんだけど!」
「勝手に持ってけ」
「手短いから届かない!」
……
すっと哲が差し出す。
「ありがとー!」
風呂場特有の響く声の中に、幸の高い声が響き渡る。
その近くで優司が目を瞑ったまま手を伸ばしてシャワーを探している。
横の龍一郎がにこにこと眺めている。
いや渡せよ。

もたもたする4人を置いて先に洗い終わる。
「先浸かってるから」
「はーい」

…………はぁ」
熱めの湯に浸かる。
身体の緊張が抜ける。

「わぁ熱そう」
「この人数入ったら溢れそう」
「じゃあ二人入んな、こっちはサウナ入ってくるから!」
幸と哲がサウナに向かう。
龍一郎と優司が湯船に足を入れる。
「「あっっつ」」
双子が声を揃え、まわりの客が笑う。
桶にお湯を入れちょっとずつ慣らしながら入ってくる。
「いいお湯だねぇ」
……

茹だるくらいに幸と哲がやってくる。
水風呂で身体を冷やしてついて来た龍一郎と優司と共にサウナに入る。

「無理、熱い」
「熱いねぇ」
「慣れてないなら早く出な」
「此奴に負けたく無い
熱風と息苦しい感覚の中、濡れた液晶の映像を眺める。
二人は無言で我慢比べを始める。
小さい頃の明伸を思い出す。

まぁ慣れてないと直ぐにダウンするのだが。

「二人とものぼせたのー?」
「どっちが最後までいられるか競ってどっちものぼせた」
「あはは!二人らしいや」
牛乳買って来ますけど何がいいですか?」
「いちごみるくー!」
「コーヒー」
「俺もコーヒー」
……俺はいい」
断る優司に
「一番のぼせてたのが何言ってんの」
「甘んじて受けよう、ね?」
「前にフルーツ牛乳好きだって言ってたからフルーツ牛乳お願い」
「ち、違!」
哲はぐっと親指を立てて買いに向かった。

「うまーい!」
「やはり風呂上がりは牛乳だよねぇ」
「この後どうする?」
「家でパーティーでしょ」
「じゃあ惣菜とか色々買ってこ!」

ガヤガヤと騒ぎながら店を後にする。
こんな誕生日も、まぁ悪くはないか。