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ながひさありか
2023-10-30 21:26:14
993文字
Public
FF16-JC
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夜来る/よるきたる
ある程度歳をとると若返って記憶を失うジョシュアを100年育てているクライヴの話 になる予定なんだけどいつ書くのかわからない。
語り部はタルヤです。
百年ぶりに、かつて私の患者を無理矢理連れ出した男が唐突に来訪した。
伸びっぱなしのぼさぼさの黒髪に無精髭の生えた、そのくせ精悍な面立ちをした男は、首から上の無頓着さと比べて体つきは怠惰と無縁で、鍛え上げられた体は百年前と変わった様子もない。
久しぶりだな、と微笑する表情と声は、記憶にうっすら残ったままで、ひどく穏やかだった。悲しそうな表情をしているわけでもないのに、眦を下げた寂しそうな顔に、どことなく捨てられた子犬を見た時のような感想を覚える。これも昔と変わらない。
男の名はクライヴ・ロズフィールド。家名であるロズフィールドは、かつてはロズフィールド・カンパニーとしてこの銀河系一の大企業としてその名を馳せていたが、五十年ほど前の「内乱」により、今となっては数人の大富豪が慎ましく、豪華な余生を送るだけになっている。そして彼は「数人の大富豪」には含まれていない。
ただし、パトロンがついているので暮らしに不自由はないと星の噂に聞いていた。
「不老のあなたに言うのも変な話だけれど、本当に変わらないわね」
椅子から立ち上がるのも億劫なほど老いた私は、彼が魂よりも大事そうに抱えている子どもに目を向けた。三歳か四歳か、そのくらいの歳に見える男の子だ。
「《フェニックス》はそうでもないみたいだけれど」
ふわふわとした愛らしい金の巻き毛に、クライヴより少し薄い青の瞳を持った「彼」は、百年前は私より身長の高い青年だった。
最後に見たのは彼が確か
——
二十歳の頃だったか。もしかするともう少し歳を重ねていたかもしれない。
「結局その《呪い》は解決できなかったのね」
小さくため息をついた私に、クライヴは目を伏せて答えなかった。その表情は百年前、解決できないのであればここにいても仕方がない、と「彼」の手を引いてここを去っていったクライヴが、その前日に私に見せたものと似ていた。
腕の中の子どもが、目を伏せたクライヴの頬を不安そうに触りながら「どこかいたいの?」と尋ねる。
「安心しろ、そうじゃない」
クライヴが優しく「彼」を抱きしめ返すのを見ながら、宙空に手を伸ばして仮想パネルを叩くと、隣室で待機していた〈ヘルパー〉にお茶を入れてくるよう命令する。
私に失望して去ったはずの彼がここを訪れたと言うことは、旧友に何か話を聞いて欲しいのかもしれないと感じていた。
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