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ながひさありか
2023-08-19 22:14:40
2328文字
Public
FF16-JC
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ジョシュクラ)クラスに怪物がいる
現パロ・双子・中学二年生
※クライヴはジョシュアと離れ離れの5年間で性格が暗くなったと言うことになっています
(後でその話書くかも)
転校生の双子は顔も性格も似ていなかったが、良くも悪くも仲がいいことで有名だった。歳の近い兄貴とか弟ってダルくね? なんて俺は思ってしまうが、もしかすると親が死んでるとそーでもないのかもしれない。流石に本人たちには言えないので俺は心の中にしまっておくが、多分そのうちばかな誰かが言い出すだろう。
兄貴の方は愛想があまりないが、弟は愛想の塊のようなやつで、個人的には弟の方が俺は苦手だった。だけど二人とも顔がいいし、多分、蓋を開けたら現実的にモテるのは兄貴の方だろう。物静かで優しいやつの方が好きって人間は多い。
……
と思っていたのだが。
目の前で、クラスメイトが机を薙ぎ倒して吹っ飛んで行くのをはじめて見た。俺は紙パックジュースのストローを咥えたまま硬直していたし、教室内は女子の悲鳴と吹っ飛んだやつの取り巻きの怒号と俺のように硬直した人間とでパニックになっている。
「兄さん! 僕は大丈夫だから!」
双子の弟くんが、今し方人間一人を吹っ飛ばした兄貴が教室の奥へ進もうとするのを宥めようと、肩を掴んで必死に止めている。
大丈夫、なんて言っている弟くんの頬は腫れていて、明らかに誰かに殴られた痕があった。あの綺麗な顔を殴る勇気があることには感心するけど、と思いつつ、俺は吹っ飛んだクラスメイトが運悪く額を切って、血を流しているのを横目に血の気が引いていた。
あいつはタチの悪いいじめっ子で校内でも有名だったが、親が学校に多額の寄付をしているだのなんだので、今まで一度も注意を受けたことはない。金をせびられて不登校になるクラスメイトが去年は二人出ていた。
やつは午前の授業中からにやにやぺちゃくちゃと取り巻きのアホどもと碌でもねえことを計画しているようなことを話していたが、まさか弟くんを恐喝しようとでもしていたのだろうか。
見た目は細っこいし病気がちだとかで学校も時々休むし顔は綺麗だしで、怖い目に遭わせれば簡単に言うことを聞くとでも思ったのかもしれない。
「大丈夫なわけないだろう」
低く押し殺した声が教室内に響き、一気に緊張が走る。普段物静かなやつのほうが怒ると怖いなんて漫画の中だけの話だと思ってたのに、現実でそれが起きるなんて最悪だ。今すぐ教師が飛び込んでくるか、そうでなければ教室を飛び出したいと思いながら双子の方に視線を向ける。
兄貴よりやや身長の低い弟くんが笑いながら「冷やせば平気だよ。歯も折れたりしてないし」と、意外と顔に合わないタフなことを言っている。
「だがお前を殴ったんだぞ!?」
聞いたことのない兄貴の怒号に再び教室が静まり返る。普段「お前の親って死んでんだろ? かわいそー」なんてアホ丸出しの言葉でばかにされようがなにしようがぼんやりしたことを返したり、本当に聞こえていないのか無視を決め込んでいたやつの反応とは思えない。
「それはそうだけど、多分もうやらないと思うから許してあげて。それより保健室に行くから、兄さんも一緒に来て欲しい」
兄貴の吹っ飛ばした成金バカは、血が! と叫んで気絶していた。今まで喧嘩は取り巻きにやらせていたし、ろくな怪我もしたことがなかったんだろう。まさか自分が殴られるとは思ってもいなかっただろうから、自業自得とはいえ恐ろしい目にあったよなあ、と感じた。
弟くんはちらりと吹っ飛んだあいつを冷たい視線で一瞥してから、ほら、と兄貴の手を引く。やっぱりこいつのこう言う反応もその顔もこえーよ、と俺はブチ切れている兄貴よりよっぽど弟くんにビビってしまう。
弟くんに手を引かれた兄貴はむっつりと黙り込んで、渋々教室を出て行く。俺たちは二人が完全に廊下の角を曲がってからぐったりと息をついた。
あまりに遅すぎるがようやく教師が何人か教室へ走ってきて、惨状に唖然とする。何しろ成金バカの倒れたあたりの床は血まみれで、吹っ飛ばされた机と椅子の当たった窓ガラスにはヒビが入っていた。
俺たちはオロオロしながらなにがあったのか尋ねて来る教師たちに見たままを話し、なんとかのろのろと教室内を正常に戻そうと指示に従って机や椅子を並べる。気絶した成金ばかは教師と取り巻き三人がかりで保健室へ運ばれて行った。
たしかにあのバカがバカでやりすぎなのは事実だったが、俺は今まで「ぼんやりしたやつ」と思っていた兄貴の方が怪物のようで、完全にビビってしまっていた。しばらく人間が吹っ飛ぶ夢を見そうだった。
午後、双子と成金バカは教室へは戻って来ず、それぞれの保護者が迎えにきて家に帰ったらしかった。なんでも双子の保護者は成金バカよりよっぽど名のある大富豪だとかで、風の噂によるとあの後いろいろ「親の会社が」大変なことになったらしい。
成金バカは学校を転校して行ったが、双子はそのまま、まるで何事もなかったかのように日常を送っている。
あれ以来、学校中から怯えられ遠巻きにされていたが、二人ともそれを少しも気にしていないようだった。
兄貴は普段は物静かで愛想のあまりない、だけどけして悪いやつではないのがわかるやつだったし、弟くんのほうは相変わらずにこにこと人の良さそうな笑みを浮かべて楽しそうにしていた。
三ヶ月も経つと二人は再びクラスに、と言うか学校中に受け入れられて、今ではまた転校当初のように双子の周りには人だかりができている。
だけど俺には兄貴を怒らせるとまずいってトラウマが植え付けられてしまっているので、今となっては弟くんより兄貴の方が視界に入れるのが怖い。
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