古賀峰十一郎
2020-03-02 01:33:59
1271文字
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84093

20200214 ××隆の場合

素性を知っている、知らない、お好きな方に変換してお読みください。遅ればせながら、愛をこめて。

名前名前名前名前 二月の冷たい空気の中、下校時刻よりほんの少し前、下足ロッカーの前であたしは待っていた。約束を言い出した本人はまだ現れない、もう先に帰ってしまおうか、後から連絡をして。そう思った瞬間、頬に何か暖かいものが当てられる。驚いて振り返るとそこには悪戯っぽい笑みを浮かべた隆くんが二本のペットボトルを持ってそこにいた。

……ごめんね?待ったでしょ、いやぁ部活のミーティングが長引いちゃってね。ん、これほんのお詫びなんだけどココアとカフェオレ、好きな方飲んで?」
 少し考えて片方を受け取ると、彼は改めて笑顔になる。そんなに笑う要素があるだろうか……

「へぇ名前ちゃんはそっちの方が好きなんだ。ううん、なんでもないにゃあ~、きみの好きなものが分かったみたいでちょっとうれしかっただけ。じゃ、行こうか」
 そう言うと不意に手を握られる。今日の行先は学校の近くにある少し大きな雑貨屋さんで、買い物するのについてきてほしいとのことだった。

「今日誘ったのはさ、ほら、バレンタインじゃん?ぼくにも妹がいるんだけど何か贈ろうと思ってね、女の子の意見がほしくって。やっぱりこういう相談するにしても可愛い子の方がいいじゃにゃい?……にゃは、下心があるかどうかは名前ちゃんの想像におまかせしちゃおうかにゃ♪」
 そう、今日はバレンタインデーなのだ!女子にとっては少し特別な日で、それにも関わらず言い出した彼はマイペースで、誰かに見られたらなんて発想はなさそうで、それがまた少し腹立たしいところでもある。
 こちらの小さなモヤモヤを気にしていないのか、隆くんはめぼしいものを見つけては1つ1つあたしに確認を取ってくる。途中で少し飽きてしまって自分でも少し物色し始める、あまり来たことはなかったが案外良いラインナップをしているらしく少し値が張るもののお小遣いを貯めれば変えない値段ではない。そうしていくつか見ているとガラス越しに目が合い、優しく微笑まれる。慌てて振り向けば繊細な幾何学模様のマグカップを持った彼がいつものように笑っている。

「こっちのマグカップとかはどうかにゃあ~、こういうのって容量もあるし割れにくいから案外重宝するんだよにゃ♪」
 少しの気まずさを抱えて肯定する。

「おっけー、名前ちゃんがそう言ってくれるならぼくとしても安心だにゃあ~。じゃ、ちょっと買ってくるから待っててにゃあ~」
 そう言ってレジの方に行く彼を見送り一足先に店を出る。ぬるくなったもらいものをこくりと一口飲めば、甘いはずのそれがなんだかいつもより少しだけ苦く感じた。
 店の中を覗くと、こちらに気付いた隆くんが足早に向かってくる。手には袋がふたつ。そのうちの一方を照れくさそうに渡してくるその顔は平時より少し赤く見えた。

「あは、ごめんにゃ、また寒いところで待たせちゃった。……これ、今日のお礼、というよりいつもありがとうの気持ち……かな、こんなこと頼めるの、名前ちゃんくらいだからさ。受け取ってくれるかな、ぼくの、ほんの気持ちだけど、ね?」