古賀峰十一郎
2017-04-27 03:45:47
2515文字
Public
 

れいじのかんらんしゃ

舞子くんの三次創作です、やっとアトラクションのれたぜーって感じの
ええ、三次創作です、ぽえみー

るりらるりらぐるぐるまわる、きらきらでおおきくて、うたううたうまんまる。まるでゆめみたいなせかいですね、でも、ああどうせみるなら、さいごまできれいなゆめがいいや。

 喜んでいいのか分からないようなこの状況に焦りを感じていないと言えば嘘になるけれど、それでも穏やかな時間が過ぎるうちは、きっと言い出せなかった言葉を吐きだすくらい許されるんじゃないかって思ってた。僕はどうにもここでの死をあまりにも軽く捉えていたし、それが二度となってもそれでもまだ死に際までかっこつけたままでいさせてあげるのが最適解なのかな、それなら僕はヴィランでもいいや、なんて呑気に考えてたんだっけ。だからこそ、君があんな場所で死んじゃったのがあんまりにもショックだったんだよな。ああだめだよ、君忘れちゃったのかな、それとも知らなかったのかな、いやそんなまさかさ、僕らの体は星に帰るにはあんまりにも重いけどまさかそんな場所で死んじゃっでも帰れるの?そんなわけないでしょう?なんて、どんな気持ちだったのか知りたいような知りたくないような、ああでもこれについては後ろめたさが先だってきっと機会があっても聞けないや。
 そんな風に怯えてる現状だけれども、ともあれ知識欲が死んでいなくてよかった、僕はそれなりに観察眼には自信があっても、それからどうするかの頭はそこまで立たないから、本能的直観的に動くだけじゃきっと失敗してしまうから、このどうにも受け入れがたい現状とどうにかなりそうなものとどうにもならなそうなものの区別をつけるにももっともっと僕は知らなくちゃいけない。そうだね、役割分担、最近のどうにも感情的になりやすい僕は焦りだとかそういうのできっと忘れてしまっていたのかもしれないや、駄目だね、相変わらず使えない。それでも、一度深呼吸して、大切な物を思い出して笑顔の練習、ああ大丈夫、僕はきっと大丈夫、きっと褒めてもらえる、きっと好きでいてもらえる。まだ腕に残る他人の体温がそれを肯定して信じさせてくれる。でもそう信じるほかないってのもどうにも不甲斐なくて不安定だな、なんて。違う違う駄目だ駄目だ、きっとじゃなくてこれは絶対なんだって。信じる者は救われるんだから。それに、ほら、シリアスなのは似合わないんだって。可愛く笑ってるのがね、子供にはお似合いなんだから。不安を隠すみたいに鼻歌交じりに次の目的地へ、ああいや、その前に何か手土産でも用意しようかな。あんまり遅い時間に行くのも悪いから、今日はもう練習に行こうって、外に出る。何か炭酸飲料を買ってさ、明るい時間になったらおまんじゅうを買いに行かなくちゃ。自動販売機はアトラクションの方へ、どうせ行くなら一周してキラキラ光るイルミネーションでも楽しもうかな、そういえばまだ結局どれにも乗れてないんだっけ。誰もいない遊園地、まるで夢の中みたい。ホラーハウスは怖いから、回転ブランコからスタートしてコーヒーカップへ、お花畑を突っ切ってジェットコースターの前を通ってメリーゴーランドの前でくるくる回る。上機嫌だって歌えば踊るみたいに足は動いた、星には手が届かないけど人工の光だって素敵だよね、なんてくすくす笑って間をすり抜けて、一番奥の自動販売機の前に着く。もうそろそろ日付も変わる頃かな。この前は青いのを選んだから、今度は赤にしてみよう。そうやって手に取った、もう見慣れた色の別の何かみたいな苺ジュースがどうにも面白くってまた笑う、見た目は悪趣味だけどこういう味は好きそうだよね、いつものお礼に差し入れなくちゃ。ああでも、持って行かなくちゃは炭酸飲料だったや、って隣のピンクも選んで、両手にペットボトルを抱えて、さあ帰ろうって振り返った時。それに気づいた。
 アトラクションの受付、柵が開いて入れるようになってる。
 本当ならこういうのルール違反なのかもなって思っちゃうところだけど、ふらふらとふわふわした頭じゃそんなとこまで回らなくって。なんだか童話の始まりみたいじゃない?って考えちゃうので僕は乗るのです。ジュースは一度受付に置いて、ちょうど止まってたゴンドラに乗って、ドアが閉まると世界がゆっくり動き始めて。なんだか誰かに見られている気もしないことはないけれど、広くなっていく視界の前にはそんな事関係無いのです。段々と遠ざかっていく地面に、ミニチュアみたいになっていく建物。最後に観覧車に乗ったのはいつだっけ、思い出せないけどそうだな、きっとあの時はお父さんも笑ってくれてたな、楽しかったな、ううん、今もすごく楽しいや。視界いっぱいに広がるアトラクションのイルミネーションはとっても綺麗で、きっと満天の星空にも見劣りしないじゃないかと思うとどうしてか誇らしく思えた。お花畑も、みんなで材料を集めた猫ハウスも、光ってないけどなんだかキラキラして見える。ふふ、ねえねえ、きれいだね、すてきだね、ずっとずっとみてたいね。ねえ、きみもそう思うでしょう!

あ、」

 振り返るとそこにあったのは、懐かしい家族の笑顔でもなく、やっとできた大切にしたいものでもなく、ただただ仄暗いゴンドラががらんどうに揺れているだけだった。嫌な笑顔が映らないように、向こうのガラスを見ないようにとそっと目を伏せてもう一度イルミネーションを見下ろす。ぐったりともたれかかったガラスはさっきまで暖かかった気がするのに今は冷たい。……やっぱりルールは守らなくっちゃ。やだな、なんだかさみしいな。さむいや、早く帰って暖かいものを飲まなくちゃ。午前零時の観覧車はそれでもゆっくりゆっくり回り続ける。キラキラの世界が近づいて段々と狭くなっていくと、ゴンドラの中の温度もゆっくりと下がっていく気がした。どんどん暗くなっていくゴンドラは押し入れの中みたいだ、僕は開けてもらえるのを待たなくちゃいけない、だって僕の意思じゃ開けていい物じゃないんだから。きっと見つけてもらえるって信じて、抱えた光るものが零れ落ちないように目を閉じた。耳元で鈴が揺れてる、まるで歌うみたいに。
 みんなのいる場所に帰れるまであと5分。夢を見るにはちょっと長すぎるね。