黄色がかった暖かい光を灯すランプだけが柔らかく照らす部屋で、砂糖たっぷりのダージリンの香りにリラックスしたらスイッチを入れる。さあ、思考を始めようか。「世界ってどんな味がするんだろうね」…でもその前にちょっとしたストレッチタイムかな。
泉のように湧き出るこの言葉たちが、思考し試行することそれこそが、僕の自我を支え、僕に「超高校級」のタグ付けをし、何より僕を僕足らしめるんだろう。今こうやって試行し続けている限り観測はできないけれども、思議しえない僕は僕であるのだろうか、ああいやこれはきっとストレッチの域を超えるからまた今度かな。少なくとも自明であるのは、言葉を放棄した瞬間僕は超高校級も何も「哲学者」でなくなることかな。どれだけ高尚な定義がされたって、どれだけ気高い使命が課されたって結局は知ることを、そして考えることを愛するのが哲学者の本質じゃないかなって僕は思ってる。希い愛してこそ哲学、なんてちょっとロマンチックで僕は好き。そういえば希い望んで希望か、ってそう思うとなんだか似てるな、哲学って希望から生まれるのかも、なんてね。ああでも、希望も哲学もルサンチマンと羨望と蜘蛛の糸からできてるようなものだから本質的には同じなのかな?いいやそうでもないかも、だって希望の先には羨望の実現がきっと必要で、哲学の先にあるのは未来じゃなくて世界の根源だ。僕らみたいな人でなしでもきっとみんなみたいにキラキラ笑える世界がきっと見えないだけで存在してて、それを証明して人でなしだってキラキラ笑ってていいんだってそう思うために、僕たちは今存在してる世界が、人でなしが人の目を気にして人の幸せを気にして自分は雑魚モンスターだなんて思い込むこの世界こそが色眼鏡のかかったニセモノで僕たちみたいなのを含めた人間未満の人でなしが人と同じように笑って誰にもはばからない理想的な理想のホンモノの世界が、きちんとあるんじゃないかって、それこそがきっと僕らの目指す世界の根源で真実、なんちゃって、ああでもそうだ、そこってどれくらい今の感覚は残ってるんだろう。味覚がなくなっちゃうのやだな、嗅覚も嫌だ。視覚は…どうなんだろう、難しくなってきたからそれもまた今度。
人をその人足らしめるためには何を持って測って定義するのか疑問は尽きなくって、それってやっぱりテセウスの船で、十人十色で千差万別なそれについての思考を僕というケースに当てはめれば分かりやすいところでまずこの肉体。この黄泉人灰人として生まれて何年間か育ってきたこの体じゃなくて、そうだな、事故で体が動かなくなった場合に僕の知識を思考回路を性格をパターンを道のりをコピーして別の人の体に、そうだなわかりやすく違いをつけて女の子の体だとか、に植え付けた場合それは黄泉人灰人なんだろうか、きっとこれはそんなに非現実的な話じゃなくって強くてニューゲームができる可能性があるんだからまだちゃんと疑いようもなく僕が黄泉人灰人である内に考えて決着をつけておかないときっと次の黄泉人灰人が混乱して頭がぐちゃぐちゃになって僕であることに、黄泉人灰人であることに耐え切れなくなって崩壊してしまうかもしれないんだから。ああでもそうだなあ、DNAうん、DNA、デオキシリボ核酸、この長くて長くて長い鎖の一致が僕の肉体を定義付けている。ちょっと待ってよ何だか違うな、それ以前に僕の本質、それさえが残っていれば僕は僕なんじゃないの、だって肉体なんてそんな儚くてすぐ無くなっちゃうものなんて僕の本質じゃないでしょうに、僕は僕として僕が思考し思議している限りその肉体が僕の肉体だ。なんだそれ計算機かよ、代替可能かよ、おっかしいの、だって考えても見てよ、あ、今考えてるのか、いやそういうのは置いといてさ。役割と形が同じならば、そう、僕が人の形を保って考えることができるならば、想像理想のアウトプット装置としての僕は存在が存続できるんだ。うん、ちょっとはこれで進んだのかな。じゃあとりあえず今日のストレッチはこれでおしまい!僕の僕たる僕が存在と存続の難題はきっとこれからも毎日ちょっとずつ進んでいくのかな、ううんそうじゃないや進めないと、だね、それは勿論僕のためであり、そして次の黄泉人灰人のためにも必要なんだものね。よくよくまとまったその日には、わかりやすく別のメディアにまとめないと、勝算なき選択肢に賭すことを称賛する選択肢を持たないみんなにもちゃんと伝わるように工夫しなくっちゃだもんね。ふふふ。あ、紅茶がつめたい。
思ってたよりも時間を食べてたみたい。あ、そうだな、うん、僕は食べることって好き。甘いものは特に好き、脳には糖分が必要だから、考えるのには甘いものが必要だから、こればっかりはいくらでも飽きないでいられるんだよね、本能が関係してるからってのもあるのかな。でも、いつまでも飽きないものと言えばまだあるんだっけああいや違うや、こっちは本能とは違うんだった、だっていつまでたっても僕にくれないんだもの、そりゃいつまでたっても欲しいままなんだよな。難しいね難しいよ何だってんだもう!なんだか思い出すとちょっとむかむかしちゃった、でもそういうとこも含めて好きなんだもんな、それにね、ふふ、優しいし!ああきっと甘くておいしいんだろうな、ほら昔の人も言ってたでしょ、「お砂糖とスパイスそれから素敵なものいっぱい」でできてるってさ、あれそれって女の子のことだっけ、いっか、うん。でねだってねそれってとっても美味しそうな感じがするでしょ、だからきっと素敵なものはお砂糖とスパイスと素敵なものでできててとっても美味しいんじゃないかなって、ん、ん、ん?あーそうかそうかそうかうんうん違うや違うねそうだった。逆なのかもね、だからそう、それってつまりだ、最高に至高で無敵に素敵で理想的な本物の、こんな愚かにも地に足つけなきゃ歩いていけない僕たちにはまったくもってその影しか見えてない色眼鏡越しのキラキラ綺麗なイデア界ってきっとお砂糖とスパイスと素敵なもの全部でできてるんじゃないかな、なあんて。
めちゃくちゃこれって荒唐無稽だけど、きっと面白いよね、うん、面白い。だって世界は調味料と誰かの感性で及第点に達したものだけでできているんだってさ!そもそもその判断下したのって誰さ、あっはそれこそカミサマってやつなのかな。笑っちゃうね、笑えるね、っていうか笑うしかないよね。ねえねえねえカミサマ、ところでその素敵なものって僕って入ってるかな、入ってるわけないよねおかしいよねだって僕そもそもほら人でなしじゃない?ほらつまりは不平不満に押しつぶされそうで、どうにか肯定できる世界がほしくって、だから考えて、考えて、考えて、自分で作った迷路の中から出てこれなくなっちゃうような、誰かがゴールから入って一直線に僕の事いつか見つけ出してくれるんじゃないかって思っちゃうような、そんな誰かが存在しているんじゃないかって考えなきゃまっすぐも何も歩いていけないような脆弱生命体が、素敵なものに入ってるだなんて、あり得ないじゃん笑えないじゃん素敵じゃないじゃんジャンル違いのお門違い力不足じゃないかそんなものさ。そんなもの入れちゃったら定義ぶち壊しだもんね、ああ、もう、さ。はあ。
で、問題はどうするか、だよね、ここからだよいつだって僕らは巻き返し見返してみせることができるんだ。うん、きっと、いや絶対にできるよ、それが僕の、いや黄泉人灰人の、いいや超高校級の哲学者黄泉人灰人の「希望」なんだよ。多分ね。そうだね、僕はヒーローになるんだいつかきっとね、だってヒーローは称賛される存在で、肯定される存在で、いつだって遅刻してくるくせして酷く魅力的なんだ、素敵なんだよずるいよね。だからせんせー、僕こと黄泉人灰人はきっといつかヒーローになってみせることを誓いまーす。なれるかな、きっとなれるよね、どんなヒーローだって最初はきっと弱くっていつの間にか強くなったんだよ、とんでもない修行をするとか、それか、とびっきりのチャンスに襲われた瞬間とか。来るのかなそんな瞬間、ううんまだあったヒーローになるチャンス!僕がなっちゃえばいいんだよね、ヒーローでカミサマ。シンデレラのお友達は悪い豆ばかり食べさせられてたけどさ、そうじゃないよね食べるべきはさ。ね、つまりね、全部全部食べちゃばいいんじゃないかなって。お砂糖もスパイスも素敵なものもみんなみんな僕のお腹の中。噛んで砕いて飲み込んで消化して吸収してそんないつも通りにさ、考え事するときみたいにさ、読んで知って覚えて思考して理解して、そうやって僕自身がなってしまえばいいんだよね、素敵なもの、ヒーロー、カミサマにね。でもちょっと問題かもね、世界を食べちゃうなんてさ、ううん新しい世界についてなんかは僕がそのあと何でも決めちゃえばいいんだから何の心配もないんだけどさ、問題は世界が美味しくなかったらどうしようって話でね。きっと素敵なものばかりでできた世界はきっと素敵な味がするんだろうけども、もしも万が一びっくりするくらいひどい味だったらどうしようね、ほらドリンクバーだってそうじゃない。一つ一つは美味しいのに混ぜていくうちに味が混ざって濁ってまっずくなっちゃうアレ。嫌だよね、あれ嫌いなんだよね、美味しいものは美味しいままで食べちゃいたいよね。あっ待ってよどうしよう、ねえ素敵なもの全部食べちゃうってさ、もしかしたらあの子もあの子もみんなそうしちゃうのかな、ああどうしよう。僕また飽きちゃうのかな、いらなくなっちゃうのかな。もう嫌になるよね自家撞着でさ、何でもかんでも欲しくてたまらないのに、手に入れるといらなくなっちゃう。愛する必要がなくなるからかなってそんなものでいいのかな。でも欲しくなっちゃううんだものだって理解したいと思っているんだから、手に入れて理解するために食べちゃいたいって思うんだから・・・あれ。ねえこれって愛してるってことだよね、間違いないんだよね、どうなのかなせんせ。またいつもみたいに教えて欲しいよ、あ、もうそれって叶わないのかなううん分からないぞ困ってきちゃった。ああもう世界が飴やチョコみたいな味がすればいいのに、間をとってキャラメルでもいいんだけどさ、どうでもいいんだよそんなことは。だめだあはは頭が回らなくなってきた。起きたらこのあたりごっそり編集して消しとかないと。うん、これは明日の僕のため。まだまだ地続きで確実に存在している黄泉人灰人のため。
とうとうこんな時間になっちゃった。あーあ、頭がガンガンするよくらくらするよ。おめめがチカチカするよぐるぐるするよ。ぐるぐるのぐらぐらでぐわんぐわんのびきびきだ。あっはっは、おてての上を黒い虫が這いずり回って見えてきた。いけないいけないいけないね、睡眠不足は何より体に悪いドラッグなんじゃないのかなっていっつも思うんだよね。だってあんなに頭が冴えてたはずだって言うのに今じゃ眠くってやってられないくらいにつらいんだもの、ああこういうの今度誰かに観察実験して論文にして名高く高スコアな雑誌に出して世間とかいう人に認知してもらわなくっちゃ、睡眠不足は違法ドラッグですよって。なんだそれわかるけどわけわかんない、とにかく眠いよ眠いそうだもうこれは寝るしかないんだ。でもどうしようね、僕ってどれだけ眠くても眠れなくって。なんでなんだろうどうしてなんだろう不思議だね、不可思議で理不尽極まりないよね。ああでも不思議を思議するのが哲学者だもの僕だもの、まあこの不眠は哲学者よりもカウンセラーの領分だよね、ホント仕事してほしいよ、こんな辛いのおくすりで当分はしのげなんていうんだもん。瓶からひとつ、ふたつ、ガリガリかまずに水で飲みほして、プラシーボなんて言葉も存在するしやっぱり宗教って偉大だよね。信じる者は救われるんだよそうだよねそうだもんねそういうことにしなくっちゃ。きっとこの薬は僕の症状を和らげてきっと健やかに眠れるんだって思い込まなくっちゃ祈らなくっちゃね。こんなにつらいの全部バリバリガリガリゴリゴリって全部かじって食べちゃえたらいいのにね。でもそれ何だか苦くて美味しくなさそうだなあ。美味しくないのは嫌かも、だって美味しくないものは素敵じゃないでしょう。僕は素敵なものぜぇんぶ食べていつか僕もきっと素敵なものになるんだってね、あ、だんだん頭がふわふわしてきたかも?きっとそう。ふわふわであったかくってポカポカしてきたら僕は眠れるんだそうだよね。何ていうんだっけこういうの、安心?かなあ。そっか、僕は安心したら眠れるんだろうね、そうなのかもね、ふふふ今度お願いして検証して証明してもらおう。きっと嫌な顔されちゃうかもだけどね。でもきっとやってくれるよね、証明できたらこんな美味しくなくって不健全なお薬ともお別れだ、バイバイだ、あっちにやれちゃうって算段だ。そいつはとんでもなく愉快な算段だよね。ね。
うん、なんだか楽しい気分になってきた。これならきっとぐっすりだ。幸せだね、幸せだね、幸せだね。きっとこれが幸福ってやつなのかもしれない。ふふふふ、幸福とはお布団の中にあったのかもね、あったかいもんね。僕もっといろんな幸せが知りたいな。だって知ることは感じることは観測することは考えることは僕の領分で仕事だもんね。ね、それじゃあ、せいぜいキャンディでできた世界でも夢見て眠るよ、おやすみなさい。カチリ。
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