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猫柳 楸
2023-08-19 16:59:28
1460文字
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内緒のお茶会
1部駆け抜けてる途中で来てくれたモリアーティくん(裁)とマスター♂、わちゃわちゃCP未満
2022-7-26
「やあ、マスターくん!良い茶葉が手に入ったんだ、お茶にしないかね?
もちろん、茶菓子も用意してあるとも!ほら、これ。ダイフクというのだろう?エミヤくんのお手製だよ。僕は和菓子には詳しくないが彼の謹製なら味も一流だろうネ。ほらほらはやく座りたまえよ、お茶は僕が淹れてあげよう」
モリアーティは部屋に入ってくるなり、そう一気にまくし立てると、俺が目を瞬かせている間に我が物顔でテーブルを陣取り目の前にみるみるうちにアフタヌーンティーのセットが組み上がっていった。
モリアーティが持ち込んだのは口を大きく開けていちごを頬張っているような可愛らしい造形のいちご大福だ。クッキーやスコーンの間に挟まれて、ケーキスタンドの真ん中に鎮座する大福はなかなかに異様な光景であった。
珍しくテンションの高いモリアーティに半ば流されるように席に着くと、誰かが置いていった可愛らしいデザインのティーセットで紅茶を注がれた。
「どうぞ、マスター」
途端、ふわりと鼻腔に広がる芳しい香り。
「いただきます」
ひとくち口に含んでみると、なんともいえない上品な味わいが口いっぱいに広がった。さすがイギリスの英霊といったところか。
美味しい、と呟くと、モリアーティも満足そうに微笑みながら、そうだろうと大きくうなずいた。
「和菓子に合うものを選んでみたつもりだがどうかな?」
「うん、お茶もお菓子もすごく美味しいよ!ありがとう、後でエミヤにもお礼言いに行かなきゃだね」
どういたしまして、と返しながらモリアーティは向かいの席に着いた。しばらく二人無言で紅茶を楽しむ。彼が和菓子に合うと言ったとおり、大福との相性はばっちりで、ついつい手が進んでしまう。
ふと、視線を感じて顔を上げると、モリアーティがじっとこちらを見つめていた。
なんだか妙に気恥ずかしくて目を逸らすと、彼は可笑しそうにくすりと笑って言った。
―――
やっぱりマスターくんはかわいいねえ。
カッと頬が熱くなるのが分かった。
「何処が?とでも言いたげだネ、可愛いとも。僕が淹れたお茶を何の疑いもなく飲み干してくれるところとかね」
ああ、勿論なにも仕込んではいないよ、ホームズにバレると厄介だからね。と冗談めかした口調で言うモリアーティの言葉には耳を傾けず、ただひたすら紅茶を口に運んだ。
その様子が面白かったのか、くつくつと喉を鳴らして笑う声が聞こえてくる。
……
まったく何を考えているのだろうか。
「何か企んでいるのかとでも言いたげな顔だね、マスターくん。それじゃあ1つ種明かしといこうかな」
モリアーティの黒目がちな大きな目がきゅうと細められる。
「さっき僕と君ですっかり食べ尽くしたあの可愛らしい形のダイフクだけれど、アレはDr.ロマンが隠していたとっておきのオヤツなんだよ。いやいや盗んでなんかいないとも、賭け骨牌の景品に巻き上げ
……
、ゴホン!頂いたのさ」
いやぁ実に良いカモだったネ!と笑う彼には、どうにも悪びれる様子はない。
「さて、僕はドクターのダイフクを取り上げて、君はそれを食べた。これ共犯と言って差し支えはないだろう?」
楽しげに告げられた言葉に思わず顔を上げると、彼の指先が唇に触れた。いつの間にか距離を詰められていたことに気が付き息を飲むと、彼は一層愉快そうな表情を浮かべて続ける。
「さあ、マスターくん。僕らだけの秘密を共有できたことだし、お茶会を続けようか」
秘密、という言葉を殊更強調しながらにこりと微笑む彼はなぜだかとても穏やかで、俺はこくりと頷いていた。
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