祭子
2022-07-18 11:41:29
1547文字
Public FF7/R×A/TLKG
 

■IT IS THE HEART ALWAYS THAT SEES, ...■

∠[ν]-εγλ0010/02
神羅社長の庇護のもと徒食のままではいられません。エアリスは日課の薬草調合に勤しみます。
※サイト掲載テキスト(20200908初出)

■IT IS THE HEART ALWAYS THAT SEES, BEFORE THE HEAD CAN SEE■
∠[ν]-εγλ0010/02


 朝の九時。
 ルーファウスがお仕事行くの見送ってから、さて、わたしもお仕事。
 キッチンに立って、コーディアルシロップの具合を見る。
 こっちはそろそろ飲みごろ、かな。
 今晩、ルーファウスのお風呂上がりに、試飲してもらおう。
 お湯割りにして、バレリアンとリンデン、ちょっと足そうかな。
 きっとお酒よりぐっすり眠れるはず。
 あ、でも。
 あの人、お酒好きみたいだから、お酒で割るのもおすすめしてみよう。
 こっちも、うん、漬かってるね。
 朝いちばんのコーヒーも美味しいけど、空っぽのお腹、吃驚しちゃうから。
 オレンジピールとギンコウを用意すれば、うん、一日の始まりにぴったりのハーブティーのできあがり。
 こっちは内緒のハーブ。
 ヒース、ネトル、チャービル。
 だって、美肌とか潤いとか、あの人にはいらないでしょ。
 きれいな顔してるけど、お肌もきれいなんだもの。
 ずるいなあ。
 何か特別なことしてるのって聞いたら、とくに何もしてない、だって。
 ずるいなあ。
 でもお仕事立てこんだり、寝不足の日は、ちょっとお肌荒れ気味だから。
 たまにはお裾分け、してあげようかな。
 さて、シロップはばっちりだね。
 今晩が楽しみ。
 じゃあ、今日のお仕事、始めますか。
 ヒーリンの裏山は、宝の山。
 薬用にも香料にも使えるハーブ、たくさん自生してる。
 入浴剤も、いいな。
 でも、今日は常備薬って決めてる。
 あの人、具合悪くても、お薬飲みたがらないから。
 化学合成薬のお世話になりっ放し、だったんだって。
 後遺症ひどいの、そのせいもあるんじゃないのかな。
 だからまずはデトックスと、それから鎮静効果のある調合にチャレンジしようっと。
 朝摘みのハーブ、いい香り。
 このにおい、あの日を思いだすな。
 ディーと初めてお散歩に行った日。
 ルーファウスがお仕事さぼって、お散歩、連れて行ってくれた日。
 あの人に手を掴まれて、すごく嬉しくて、だけど申訳なくて、泣きそうになっちゃった日。
 嬉しかったのは、勿論、ルーファウスの気遣い。
 それから、大らかっていうか、気にしなさすぎっていうか、あの人のそんなところ。
 だって、セトラとか、古代種とか、思念体とか。
 思念体のことは何か考えてるみたいだけど、それだけ。
 わたしみたいな得体の知れないの、本当に何とも思ってないみたい。
 怖いとか、気持ち悪いとか。
 だから、わたし、ここでは何でもない、ただの人でいられる。
 そういうの、全部ひっくるめて、嬉しかった。
 申訳なく思ったのは、お母さんとお父さんのこと。
 だって、わたし、神羅にお世話になってる。
 神羅の土地の、神羅の別荘の、神羅の息子さんの。
 あの人に甘えようとしてる。
 お母さんとお父さん、許してくれるかな。
 怖いけど、聞いてみたい。
 だけど、今のわたしには、そんな力はない。
 お母さんもお父さんも、反対しないって、思いこむことしかできない。
 このまま神羅さんちにいても、いいよね。
 ここ、居心地、いいの。
 あの人、想像と全然違う人なの。
 変で、いろいろ知ってるからお喋り面白くて、笑いのつぼがずれてて、がまん強くて、それで。
 ん、ちょっと待って。
 今のなし、なしなしなし。
 聞こえてたら、聞かなかったことにしてね、お願い。
 ハーブ、早く下拵えしないと萎びちゃう。
 やだなあ、調子、狂っちゃうなあ。


■END■
(いつだって頭より心が先)

20200908