祭子
2022-07-18 11:36:35
1303文字
Public FF7/R×A/TLKG
 

■D'S MURMUR■

∠[ν]-εγλ0010/01
Dはあらかじめ教えられていないにおいを前に困惑します。主と並ぶその人は花の香りがしました。
※サイト掲載テキスト(20200903初出)

■D'S MURMUR■
∠[ν]-εγλ0010/01


 ラボのおじいちゃん主任とおじさんとお兄さんたち。
 それから、おば、間違えた、お姉さんだった。
 あと、いろんなこと教えてくれたおじさんとお姉さん。
 皆とお別れは悲しかったけど、どきどきもとまらなかった。
 だって、今、横にいるのは大切な人。
 ずっと会いたくて、やっと会えたご主人様。
 金ぴかのすごく毛並みのいい人。
 大好き。
 目の前にいるのは、ご主人様の群れの人たち。
 黒い長い毛の人は、知ってる。
 たまに会いに来てくれた人。
 今日ご主人様のところに連れてきてくれた、いい人。
 でも何でかな、逆らっちゃだめな気がする。
 うん、気をつけよう。
 後ろの毛のない人は優しそう。
 このなかでいちばん大きいのに、不思議。
 おねだりしたらおやつくれるかな。
 赤い毛の人は、さっきからちらちら見てくる。
 ライバルって感じする。
 うん、負けないぞ。
 いちばん小さい人は、ちょっと生意気だ。
 がるるって唸ったら、偉そうにしないでよ新人って唸られた。
 むかつく。
 皆のにおい、ラボで覚えてきたから知ってる。
 だけど、どうしよう。
 ご主人様の横の人は、知らない人。
 ふん。
 ふんふんふん。
 ふんふんふんふんふん。
 ディフェンスじゃないよ、においを嗅いでるんだよ。
 どれだけにおいを嗅いでも、やっぱり知らないにおいの人。
 でもご主人様と同じにおい、ちょっとだけするから不思議。
 知らないにおいの人は噛みなさいって、首にある太い血管を噛みなさいって、おじさんに教えてもらったんだけど、練習もいっぱいしたけど。
 ええと、噛んでもいいのかな。
 ご主人様を見ても、ご主人様は今すごく怒ってて相手にしてくれない。
 悲しいな。
 せっかく会えたのに。
 それにすごく怖いよう。
 負け尻尾になっちゃった。
 でもさすがボスドッグ。
 皆怖がってるもんね。
 えへん。
 あれ、知らないにおいの人、怖がってないね。
 ひょろひょろでいちばん弱そうなのに、黒い毛の人より強いのかも。
 ご主人様も知らないにおいの人には怒ってないし。
 あれ、これって。
 もしかして。
 ひょっとすると。
 ご主人様のつがいなのかな。
 ううん、どうなんだろう。
 何だかちょっと違う気もする。
 えっと、ご主人様からの信号は。
 曖昧。
 複雑。
 うん、さっぱり分かんない。
 そのうち分かるかな。
 そわそわしてたら、ご主人様が知らないにおいの人に挨拶しなさいって。
 ぺろ
 ふん。
 ぺろぺろぺろ。
 ふんふんふん。
 ぺろぺろぺろぺろぺろ。
 ふんふんふんふんふん。
 近くで嗅いでみたら、すごくいいにおい。
 ラボの人たちが庭で育ててた、あれと同じにおい。
 知らないにおいの人は、群れの人じゃないけど、ご主人様のつがいのようなそうでないような、よく分からない人だけど。
 きっと噛んじゃだめな人で、お花のにおいのする人。
 ご主人様の次に、好き。


■END■
(愛犬の独り言)

20200903