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出口
2023-03-26 10:43:13
7982文字
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原作軸(五悠)
「五条先生が俺の恋人?」
告りつつ既に恋人とか言ってる先生と、惚れっぽい性質なのに先生には惚れてないからどーしようかな…ってなってる悠仁の話。
※元カレカノとかいないけど惚れっぽい悠仁(バイ)です。
tetra toxic
五条先生が俺の恋人?
――
はっ? 五条先生が俺の彼氏!? 突然ブッ込まれた状況に、頭の中全く追っついて来なかった。
いや、だって五条先生だよ? あの五条先生がだよ?
呆然と見上げた五条先生の頭、相変わらず遠い。めっちゃ背が高いからかなりの角度で見上げることになるし、先生も鋭角に俺のこと見下ろしてる。
いつもの黒いアイマスクしてるから、どんな目してるのかは分からない。分からないけど俺は見られてるの意識して、カッと顔に熱が集中するの分かった。
先生の口元は弧を描くよう口角を上げてるけど、それは割といつものことだから
――
やっぱり何を思ってるのかは分からない。
「な、なんで俺が五条先生と付き合うことになってんの??」
戸惑いながら聞いたら、
「僕が悠仁のこと好きだから。惚れたの」
先生はやっぱりいつものよう飄然と言ったけど、心なしかいつもよりちょっとだけ低い声だった。
実は俺は、こうみえても惚れっぽい性質だ。
けど惚れた相手は大抵男だし、女の子でも相手には既に決まった人のいる場合が多かった。だから一度も告ったことはなくて、そうしてるうちに次また他のやつに惚れて、いつの間にか前の相手のことは忘れてる。
『熱しやすくて、冷めやすい』ってやつ。自分でもどうかと思うけど、相手には何も伝えないまま終わってるから誰にも実害なんてないはず。
だけどそんな俺も今年の夏はそれどころじゃなく、恋なんて忘れてた!
初めての呪霊遭遇から宿儺の指を飲み込んで、あれよあれよという間に呪術師の専門校である呪術高専へ編入。目まぐるしかったし、一度死んで生き返るなんてマネまでしては地下室で特訓! とか生活のリズムどころじゃなかったし。
まあどこでもいつでもそれなりに楽しんではいたけど、とりあえず惚れっぽい性質は封印されてた。
宿儺のせい
……
ではないと思う。別に性欲は減退してないし、アイツが俺の心の中まで影響してくることなんてまれだ。
夏の終わりからはまた少しずつ恋もするようになってきたけど、アプローチしたところで気づかれず、やっぱり叶わない不毛なものばっか。しかも、熱して冷めるのサイクルも早くなってる気がする。
ちなみにこんな俺でも、今のところ高専関係の人に惚れることは無かった。人間的には幾らでも惚れることあったけど、恋とか愛とかそーいうんじゃない。そこは、惚れっぽい俺にだって明確に区別ついてる。
だから
――
五条先生が俺の彼氏になるとか、想像どころか想定したことすら無かった!
先生、俺に惚れたの? だってあの五条先生だよ? 先生が誰かを好きになるとかあんの? しかも俺? 俺だよ? 先生からしたらガキだし、呪術師としてだってまだ半人前で等級すらついてない。顔だって自分じゃそこまで悪くないって思ってるけど、一般的に見たら平凡だってのも分かってる。しかも五条先生のアイマスクの下、めっちゃイケメンなの知ってる!
――
先生が俺に惚れる要素ってある? つか、13も年下に成人男性が本気で惚れる? しかも五条先生が!
「ないわー」
だから俺は呆然としたあとで、正気に戻って否定した。揶揄われてるのか、妙な好奇心を起こしたのか、それとも気まぐれか。そのどれかだと思う。
「
…………
。」
降ってきそうな角度で見下ろされてるのは、それだけ俺と先生の距離が近いから。先生は少しの間無言で俺を見下ろすと、口元に刷いていた笑みを消して、
「悠仁が惚れっぽいのは知っているけど
――
」
なんて言い出した。
「えっ!? なんで知ってんの!?」
俺は五条先生どころか伏黒や釘崎とか誰とも恋バナとかしたことなかったし、そんな素振りも見せてなかった筈だ。惚れてきた相手は高専関係者でもない。
「分かりやすいから」
でも先生は鼻白むような口調で言う。うわー
……
もしかして俺ってそんな分かりやすいの!? っての衝撃なんだけど、忙しい五条先生が俺のプライベートまで把握してるってのもなかなかの驚きだ。
「いつ僕の番が回ってくるかと待っていたのに、なかなか来ないから僕から来た」
だけど先生の言葉はそれだけで終わらず、俺に告白した理由に繋がっていた! へっ? あ
……
そーいう? だから
……
なの? 惚れっぽい俺がいつか五条先生のことも好きになるって疑いもしてなかったらしい言い方なの、さすが五条先生って気もするけど~。
「僕は、悠仁に対するこの気持ちをどう処したらいいか図りかねてる。いや、ぶっちゃけどーしたら良いか分からないんだよね」
五条先生は確かに弱ったように語るけど、そんなこと言われたって俺も困る。
「でもそういつまでも悩んでいられないし、何考えても結局行き着くとこは悠仁だし。だから悠仁と一緒になんとかしようと思って。ねえ悠仁、どうしたら良いと思う?」
そこまで言って先生はやっと笑った。最後の方は軽い口調だった。ナナミンが五条先生のこと軽薄だって言ってたけど、わざとそうしてる? ってくらいそんな口調。
だけど俺はたじろぎ、すぐには何も返せない。俺なんてこんなに惚れっぽく誰でも好きになっちゃう性質なのにそれでも告白なんて一度もしたことないのだから、先生のその思い切りの良さに驚嘆したってやつ。人から告られたのだって初めてのこと。そもそも俺のことそういう意味で好きになる人がいるとか、それ自体リアルに考えたことなんて無かった!
何も返せない俺に何を思ったのか、
「僕は別に、悠仁を僕の思うままにしたいと思っている訳じゃないんだ
……
――
思うまま
……
ン〜〜
……
とりあえず、それはいっか♡」
先生は殊勝なことを言うかと思ったら、最後を不穏に終わらせる。
「そこ有耶無耶にされんの!?」
だから思わずつっこんだら、「えへへ」と笑われた。
そうは言われても、実際俺は五条先生のこと『先生』以上に思えていない。自分が告られたとしたらどうなるのだろう?
……
なんてまあ、考えたこととかなかったけど、それでもこんなにもソワソワと落ち着かなくなるってのは想定外だ。
だけど俺がいきなり先生の事そーいう意味で好きになるなんて展開はないし、
「ワンチャン狙いで俺のこと恋人にするんじゃなしに、他の人好きになった方が良くね!?」
多分、俺にフラれるなんてこと想像もしていなさそうな先生に
――
いや、五条先生なら恋人にできる相手なんてそれこそ星の数ほどいるんじゃないかな? と思い、そう口にしていた。
「はあ
……
」
すると先生は両手を腰にやって、分かりやすくため息をついて見せた。分かってないな、と言いたげな素振りだ。
「悠仁ぃ、僕だって感情が無いわけじゃないよ? むしろ覚えたての感情に振り回されてしんどいくらい。それはさすがにちょっと
……
酷だよ」
そしてちょっと睨まれたような気がして、俺は初めて「ハッ!」とする。
「あっ! ごっ
……
ごめ、ごめんね! 五条先生!!」
そうだった! 先生は俺に告ってきたんだよな!? 好意を寄せる相手に『他をあたれ』みたいなこと言われたら、そりゃ誰だって傷つく! 告白したことのない俺にだってそのくらい想像はついたはずなのに、さすがに心ない言葉を口にしてしまった! 先生でも
――
さすがの五条先生でも傷つく
……
のか。そーか、先生ってそういうの、傷つくんだ?
高専でうたた寝していた先生を見つけた時、「五条先生も寝るんだ?」なんて言った俺に「当たり前でしょ」って釘崎が呆れたことがあったけど、俺ってちょっとそういうとこあんだよね。五条先生は特別な人間
……
というか、決して悪い意味ではないつもりなんだけど凄い人! って気持ち強すぎて生き物として当たり前のことしているのにすら「アッ!」って思ってしまうことがある。それがなかなかのギャップに見えて楽しいってのもあるんだけど!
「さすがに傷ついた」
それでも素直に言われたら、
「マジで悪いと思ってる! 配慮に欠けてました!」
誠心誠意のつもりで頭下げて謝った。
「キスしてくれたら癒される」
「
――
へっ?」
だけどどさくさに紛れるよう言われた言葉に、ちょっと間抜けな顔で先生を見上げる。
「悠仁が僕にキスしてくれたら傷も癒えるから、キスして」
自分の唇を指さしそう言った五条先生の口調はいつも通り飄々としているようだったから、
「えええええっ!?」
俺は一拍遅れてから声を上げていた。
「恋人同士ならキスくらいしてもいいだろ?」
当然の権利だ! とでも言いたげな先生だけど、待ってまって、
「まだ恋人同士じゃねーし!」
俺はそんな話になってないよね!? と慌てる。俺たちいつの間に恋人同士になってたの!? ってとこから始まってたよね、この会話!
「じゃあ、これがその始まりのキス。悠仁からして?」
だけど先生の『まだ何も始まっていないのなら、今から始めれば良い』なんて言うような口ぶりに、
「ん〜〜? んんんん? なんか、よく分かんなくなってきた
……
俺と五条先生、もう付き合って
……
るのか?」
「るよ」
「キスしていい
……
のか?」
「いいよ」
先生が決定事項のように断言し、俺に覆いかぶさるよう顔を近づけてた。
「ま、いっか〜」
だから俺は考えること放棄し、唇に触れられる前に背伸びで一気に縮めた距離で五条先生の頬にキスしてやった!
「な、なんでほっぺなの?」
俺の唇がチュッ! って弾けるような音を立てたばかりの頬を押えた先生は、不服そうなこと言うけど口元がちょっとニヨッって笑ってる。満更でもないっぽい。
「最初はそんなもんじゃね?」
だからイタズラが成功したような気持ちになった俺も、口元ニヨッてしたと思う。こっちは先生の反応にちょっとテンション上がったから。
「そうかな!? こう見えても僕、もう28なんだけど!?」
口元ゆるみながらも迫るような言葉を、
「こう見えても俺、まだ15なんよね」
俺にとってはほっぺチューでも初めてなんですけど? って思いながら、大人のくせに我がままな先生に言ってやった。
「そーだね!? だからほっぺなの!? 僕の彼氏可愛いね!?」
もう彼氏とか言ってるし〜。だから展開早すぎだってば!
「もう僕、顔洗わないね!」
「いや、洗えよ?」
変なことを言い出す言葉は取り零さずちゃんとつっこみ、パーカーの袖を掴んだので先生のほっぺゴシゴシ拭いてやる!
「ちょ
…
ッ! 勝手に拭かないで!? 悠仁の涎!」
――
涎って!! 言い方もうちょい何とかならんの?
「五条先生ってさぁ
……
」
「なぁに?」
「年下好き
……
とか、男子高生好き
……
とか、ロリコン
……
とか、そーいうやつ?」
俺にあって五条先生の持ってないもの
……
って言ったら、若さくらい? しか思いつかなかったけど、それにしたって歳も離れすぎてるし
……
と思ったら
――
もしかして? の疑惑が浮かんでしまった。
「違うよ!? 悠仁とは、おじいちゃんになってもずぅーっと一緒に居たいと思ってるからね!?」
そしたら先生はアイマスク引き剥がすようにしながら、再び俺に顔を近づけ声を上げた。
「それは言い過ぎ〜」
おじいちゃん
……
ってのはさすがにオーバー過ぎねぇ? 五条先生がじいちゃんになってる頃には、俺だって相当中年過ぎてるよ? って笑っちゃったら、
「本気だよ!?」
先生は俺の両肩掴みつつ、ブルーの瞳で俺の目覗き込むようにして言う。
なんか真剣っていうか、必死? って感じに見えるのは、やっぱオーバーアクションな気がする。芝居がかって見えちゃうっていうか
――
あと、鼻がぶつかりそうなほど近い顔に思わず腰が引けた。
「ん〜〜
……
でも俺、惚れっぽいんだよね」
先生のこと嫌いな訳じゃねーけど、この先誰のこと好きになるか分かんないのに『それまでの繋ぎ』みたいにして付き合うってのも違う気がする。
「うん♡ だから早く僕に惚れてくれない?」
けれど先生は、あくまでもポジティブに俺を口説くの続行する気らしい。
「アピールちょい雑!」
先生を押し離しながらも、勢いに負けるようやっぱり笑ってしまう俺に、
「ごめん! でも早く悠仁とイチャイチャしたい♡」
先生は潔いほど俺への欲求を隠さないらしい。
「でもさ
……
」
「ん?」
「俺、冷めやすくもあるんだよね、さすがにじいちゃんになるまでは無理かな〜、他の人に気持ち移っちゃうかもだし
……
」
それ分かってて一時的にでも付き合うのって、ちょっと誠意がないなってこと自分でも分かるから自己申告する。
「それは
……
嫌だな
……
」
五条先生は前のめりになってた腰を起こすよう、少しだけ俺から離れて首を傾げ眉根をひそめる。
「でしょ? 俺、惚れられたことないからそっちの感覚は分かんないんだよね」
茶化す訳じゃないけどできるだけ軽く言うと、
「いま僕に惚れられてますが? っていうか悠仁はモテるよね?」
それに返した先生の声は、俺に少し呆れてるみたいな響きだった。
「モテねーよ! 告る前にフラれてばっか!」
五条先生みたいな最強のイケメンから言われるの、逆にちょっと嫌味なんですけど? とか思えるけど、その先生が俺みたいなのに惚れてるって言うんだから世の中分からない。どっか混乱する。
「告られていないだけだよね!?」
先生は何でも知ってるって顔で言うけれど、
「先生じゃあるまいし!」
俺は思わず言い返してた。
「ん? 何で僕?」
「先生はモテるでしょ?」
「まあ、モテるけど」
ははッ!
――
自覚ある!
「五条先生はモテるだろうけど、迫力ありすぎて、告るハードル高そう
……
ってこと! 俺はそーいうんじゃないし、告られないってことはモテねーってこと!」
この会話、不毛じゃね? って思いながら拗ねて跳ねつけるよう言ってやったら、
「悠仁から告られたら、ハードル撤去どころかそのまま抱き上げますけど?」
何故か先生のテンション上がるような声で、だけどやけに真剣な顔で言われたから、
「何で敬語!? 真顔こわ!!」
今度こそ、つい茶化すよう言っちゃってた!
「悠仁、僕が冗談やふざけ半分で言ってると思ってる?」
先生の眉間にまた皺が寄せられ、言われるの、
「
――
ん〜〜
……
ごめん、真剣に言ってくれてんだよね、だからゴメン! 俺たぶん先生と付き合ってても他に好きなひと出来ると思う!」
真顔より、どんな表情でも見せてくれた方がホッとする俺がいる。俺ほんとに、人からこういうこと言われんの初めてだからどうしたら良いか分かんなくなってるんだと思う。
「
――
それでも良いよ、って言ったら?」
「へっ?」
だけどどこか俺の表情探るような先生の言葉に、俺は間抜けな声漏らしてた。
「他に好きな人ができても良いから、僕と付き合ってって言ったら?」
その言葉を飲み込めないままの俺を、先生は更に追撃するようそんな事を言う。
「先生
……
なに言って
……
」
「悠仁を他のやつに盗られる前に、僕の物にしたいって思うのそんなにおかしいかな?」
五条先生が俺のこと好きってのまだどこか現実味持てないってのに、だけどそれを言葉にされるたび、なんでこんなにも刺激的に思えるんだろう?
「先生の物?」
「いや、物って言うのはアレだけど
……
」
先生は言葉を濁す
……
ってより選ぶように、俺に理解を促すよう躊躇して見せたけど
――
、
「ううん、俺、ひとの物になった事ないから興味あるかも」
思わず俺は感じるままに、そんな言葉を口にしていた。
「えっ?」
「それに俺が五条先生の物になるってことは、五条先生も俺の物になるってことだよな?」
今度は先生の方が驚くような目をしていて、俺はそれが楽しくなる。
「う、うん
……
というか、今もう既に僕は悠仁の物だと思ってますけど!!」
「また敬語ッ」
俺が先生の気持ちに興味を持つだけでこんなにも前のめりにされるの、いっそくすぐったい。
「先生は、俺の嫌がることとかもしないよね?」
「嫌がること? しないつもりだよ? 例えばどんな?」
先生は今度は俺に不用意に近づき過ぎないよう意識してるのかも知れなくて、まるで見えない鎖に繋がれた獣みたいに一定の距離を保ったまま
――
それでもやっぱり気持ちは前のめりって感じで訊いてくる。
「唇にキスとか
……
セックスとかは、やっぱ好きな人としたいし」
だからそう易々と全部許すことできないっての言葉にした俺に、
「あっ
――
……
ハイ」
先生はまた見えない壁にでもぶつかったよう、軽く身を引いて見せた。
「
……
ちなみに経験は?」
気にはなるのか尋ねられるけど、
「モテないからどっちも無し!」
なんか照れくさくて軽く答えたら、
「ま、マジでッ!?」
興奮するよう声を大きくされたら、不覚にもビクッ! て震えてた。
「先生、食いつき過ぎ!」
はぐらかすように笑って言ったけど、
「
――
……
口にキスもダメ?」
「ん?」
「僕の物になってもキスもしちゃダメかなあ!? 僕の唇は既に悠仁の物なんだけど」
どっか甘い声で窺うよう尋ねられるの、ソワソワと尻の座り悪くなるし、
「えっ! 五条先生の唇って『俺の』なの?」
やっぱ笑って返すの我ながら誤魔化すよう煽ってんなと思ったけど、
「そうだよ!! 今すぐだってキスしたい!!」
先生はそれに怒ることも怯むこともないしに、真っ直ぐに言葉にして俺を見つめてた。
「ん〜〜〜〜っ
……
」
ギュッと身を縮こめるようにして、目を閉じ
――
ちょい待ちってなる俺に、
「ダメ?」
先生はどっか甘えるような声で更に尋ねる。その一瞬の表情は見えなかったけど、五条先生のくせになんだか不安そうに聞こえた。
「良いよ」
「えっ!?」
自分からねだって来たくせに、俺が「良いよ」って言ったら意外そうに驚きの声漏らした先生に、
「キスだけだかんね、やっぱヤダと思ったら次はもうしないよ?」
俺はやっぱし照れくさくて、どこかつっけんどんな言い方してやる。
先生の目、ただでも大きなアイスブルーの瞳が揺れるような光と共に見開かれ、
「そ
――
れって、僕と付き合ってくれるってこと!? 僕の物になってくれるってこと!?」
言いながら伸ばされた両手が、がっしりと俺の両手掴んだ。
「そっか! 確かにそーなるか〜!」
やっぱ先生の手ぇ、でけー。俺こんな自分よりデカくて強い大人の男に告られて、恋人にしたいとか言われてんの? って思いながら
――
それでも興奮してるの気づいてる。
「でも、ま、良いと思う。先生と恋人、楽しそうだし!」
「や、やったぁ
……
」
俺の密かな興奮を知ってか知らずか、先生はちょっと情けない声で言うと、俺の手握った手にギュッと力を込めて、
「先生喜びすぎ」
呆れたフリして言った俺に、
「めちゃくちゃ嬉しい
……
」
噛み締めるように言うから、今度こそ笑っちゃった!
だってこのとき俺はまだ知らなかったんだ。
このあと俺が、生まれて初めての
――
それこそ一世一代ってほどの恋に落ちるなんてこと!
だからこの時の俺はまだ呑気に笑っていた。
相手は人類最強とも名高い最強呪術師。
落ちたあとに気づいて幾らもがいたって、例え世界中巻き込んだとしても、とても太刀打ちできるような相手では無かったって!
熱しやすく冷めやすい
――
なんて鉄みたいな性質持った俺の恋心は、熱いうちに打つって先生みたいなやり方が実は効果的だったのかも? 知れない。
俺がそんなふうに軽い後悔と共に夢中になるってことは、先に落ちてたはずの恋人ですら気づくのは
――
まだ先の話になるんだけど。
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