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2015-10-12 02:30:31
7015文字
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Sentinel AU(センチネルバース)ってこういうもの

最終更新:20151026
海外slashのAU(○○バースと呼ばれるもの)本来の、高い自由度に重点をおいて紹介してみました。
血界戦線二次用に作った世界観はこちら http://privatter.net/p/1085736

注:私が知るのは数年前の、特定のジャンルの二次創作としてのいくつかのセンチネルものでしかありません。
移り変わりや流行り廃れの激しい海外slashの世界において、現在のセンチネルものは大きく変容している可能性があります。
また、向こうのジャンルごとにまったく違う世界観が形成されている可能性も否めません。


センチネルAU(センチネルバース)を一文で説明してしまうなら、
『五感の異常発達した超人たち「センチネル」と、彼らと生涯を共にすることを定められた運命のつがい「ガイド」たちの物語』
です。

本来は、超感覚刑事ザ・センチネル(原題:The Sentinel)というドラマに登場した、一連の世界設定を使ったパラレルでした。
ですが様々な二次創作で使われることにより、今となっては元々のドラマとはほとんど別物の、作者ごとの様々な世界観が展開されています。

ドラマとの共通点は、
・五感が異様に優れた人を「センチネル」と呼ぶ
・その発達しすぎた五感は本人を損ないかねない諸刃の剣
・能力を使用している最中、彼らをガイドする役割の人がいる
・スピリットアニマルというなんかスピリチュアルな動物がいる
せいぜいこのぐらいだと思います。

さて、センチネルバースそのものを説明する前に、センチネルバース「と独立的に断定できるもの」と、センチネルバース「と他のバースが融合したもの」の違いについて説明します。
その為に海外の「○○もの」とでも言うべきいくつかの作風について以下に挙げます。

・つがいもの(Soulmate等)
人には運命のつがい、ベターハーフ、ソウルメイト、とにかくそういう「たった一人の相手」がいる、という世界です。
その人を探し出して結ばれたり、恋人がその「たった一人の相手」じゃないが故の悲劇が起こったりします。

・ボンディングもの(Bonding)
だいたいはなんかエロいことをして、前述のつがいと契りを交わします。
それによってより強固に結び付けられたり、あるいは何らかの理由で解除されて悲劇が起こったりします。

・Dom/subもの(D/s)
subのsは小文字です。
支配者(Dom)と服従者(sub)が存在します。飼い主と飼い犬の関係にちょっと似ています。
支配者は服従者を管理し、安全を保証し、命令を与え束縛することで互いが安心・安定します。
誤解を恐れずあえて端的に説明するなら一種のプレイです。
世界中の人間がDomとsubに分かれているというバースも最近pixivで紹介されていました。

(ちなみにDom/subそのものはあくまで関係やプレイ内容を指す語であり、「バース」ではありません。
 D/s=「世界中の人間がDomとsubに分かれており、首輪をもって契約完了と為す世界観」だと勘違いするのは、たとえて言うなら「SM」という言葉を、「世界中の人間がSとMに分かれており、百回の鞭打ちをもって契約完了と為す世界観」と勘違いするようなものです)

・アルファもの(Shapeshifter、Alpha/omega/beta)
オメガバースに代表される、関係性を狼の群れにたとえたものです。
リーダーが群れのアルファとなり、パックと呼ばれる自分だけの群れを作り、それを守ります。
シートン動物記の狼王ロボの世界のようなもので、つがいや群れのメンバーとの絆が大変強固です。
疑似家族的な絆の強調されるジャンルで多いような気がします。
特に獣の姿に変身(シェイプシフト)する獣人(シェイプシフター)ものは、「シフターもの」と呼ばれます。

・奴隷もの(Slave fic)
社会の中に何らかの形で奴隷制度、または著しい差別が存在します。
たとえば妊娠可能な性別の者が少ない世界で、妊娠可能な性別の者が奴隷として子供を産まされ続けていたり、ある種の超能力を持つ者が、それを利用する為に国家や個人の所有物として管理されていたりします。

・男体妊娠もの(Mpreg)
何らかの理由で男性が妊娠可能な世界です。

これら「○○もの」を見ていただいてもわかる通り、日本に輸入したオメガバースも、「世の中には男性・女性以外に、アルファ・オメガ・ベータという三種の性がある」というだけではなく、スラッシュで人気のいくつかの世界観をミックスさせているものなのです。
そして重要なのは、「何をどれだけミックスするか」は、各作家(スラッシャー)たちの裁量と手腕次第だということです。
オメガバースはおおよそほとんどの場合、アルファものに男体妊娠がつけ加えられていますが、それに奴隷もの(=オメガは社会的に差別されている)、つがいもの(=アルファやオメガには世界のどこかに運命の相手がいる)、ボンディングもの(=セックスし首筋を噛むことで発情期が止まる)、D/sもの(=オメガはアルファに支配される)等等、どういった傾向をどのように作りだし、付加し、重要視するかは決まっておらず、日本に輸入されたものもある一形態に過ぎないわけです。

そういった事情(前置きが長くてすみません)に基づいて、用語説明をしていきます。
日本語のセンチネル話はほとんど存在しないと思うのですが、英単語ばかりだと気がめいるかと思いますので、この際適度に意訳した言葉を使わせていただくかと思います。

・センチネル
五感の一部、あるいはすべてが異常発達した人たちの総称です。
視覚が発達していれば、スナイピングスコープや顕微鏡は不要でしょう。嗅覚が発達していれば、まさしく猟犬のようにどこまでも対象を追うことができるはずです。
作者によって、「センチネルは五感すべてが発達している人」「センチネルにもランクがあり、五感すべてを神の如く知覚することができる人もいれば、目がいいだけの人もいる」「センチネル未満の、未覚醒の『ちょっとすぐれた人』ってだけの存在も結構いる」など自由自在に設定しています。
センチネル(見張り)という用語の由来は、元々のドラマで彼らが原始社会における部族の守り手であった、とされているからです。

「○○もの」と融合した様々な派生の例
・センチネルには自分の「群れ(家族・疑似家族)」を作り守ろうとする本能がある
・センチネルは自分の運命の相手であるガイドに強く依存する
・センチネル同士は群れのアルファ同士であり、縄張り争いを起こす為親しくなれない
・センチネルは身体能力も非常に高い
・センチネルは社会的地位が高く、性質的にも生まれながらの支配者である
・逆にセンチネルは社会的にいっさい知られておらず、異能者として迫害を恐れて正体を隠している

主にD/sのDom、オメガバースのアルファ的性質を付加されることが多いようです。
ですが、このように素晴らしい超人様であるセンチネルにも弱点はあります。

・ゾーン
BL系二次においてオメガバースとセンチネルバースをもっとも大きく分けるのは、センチネルは能力であって性別ではないということです。
つまり書き手の嗜好によっては受けのセンチネルも存在します。
この場合にもっとも強調されるのがゾーンです。

ゾーンとは、発達しすぎた五感に集中し過ぎて、何らかの障害を引き起こすことです。
これは元々のドラマにも存在し、たとえば数百メートル先の犯罪者を監視している最中の視覚センチネルは、ナイフを構えて脇腹に突っ込んでくるすぐ隣の犯罪者に気づくことができません。
隣室の機械音に精神を集中させている聴覚センチネルは、隣で風船が割れると衝撃のあまり前後不覚に陥ります。

こういった衝撃に対して各スラッシャーはゾーンという弱点を設定します。
それには、

・何かに一極集中してしまい、それ以外の外界の一切を感じ取れなくなる
・昏睡状態に陥る
・びくんびくん痙攣したり泡吹いたりする
・自らの殻に閉じこもる

など様々な例があります。
中には、集中してしまいぼーっとする、ぐらいで済まされる世界観もあります。

日本語だとゾーンは名詞的要素が強いですから、「ゾーン入りする」「ゾーンから出てこない」などと表現するとわかりやすいかもしれません。
攻めでもよく陥るゾーンですが、受けをセンチネルにした時にこの設定がものすごく役に立つことは言うまでもありません。
このゾーンが非常に厳しく設定されており、倒れたり取り乱したりするセンチネルのことをフラジール(脆弱な)・センチネルと呼ぶこともあるようです。

このゾーン入りに対して絶大な力を発揮するのが彼らのつがいです。

・ガイド
運命のつがい話が大好きな海外のスラッシュにおいて、ご多分に漏れずセンチネルバースにもつがいたりえる存在は登場します。それがガイドです。
彼らは元々ドラマにはない存在(遠くのことに没入するセンチネルを傍らで警護し「ガイド」する相棒、がいたぐらいです)の為、作者によってはセンチネル以上に多種多様です。

「○○もの」と融合した様々な派生の例
・ガイドは何らかの超能力(センチネルに比肩するような)を持っている人たちである
・ガイドはセンチネルの運命のつがいなだけの一般人である
・センチネルは五感にガイドの情報を取り込むことで能力の暴走を未然に防いでいる
・ガイドはエンパス(共感能力)を持つ超能力者である
・ガイドはテレパス(読心能力)を持つ超能力者である
・ガイドは契りを結ぶとセンチネルに逆らえなくなる
・センチネルは契りを結ぶと(ベタ惚れすぎて)ガイドに逆らえなくなる
・ガイドは大体群れのお母さん的存在になる
・ガイドはセンチネルの所有物である
・独立心の強いガイドはセンチネルの奴隷となることを嫌がって正体を隠し一般人として生きている
・ガイドは貴重な財産として、国家に大切に保護され隔離されて暮らしている

※センチネル・ガイド共にあまりにバラエティに富んでいることに驚かれるかもしれませんが、すべて私が実際に読んだことのあるものです。
当時はまだ「センチネルバース」が確立されておらず自由度が高かったのかもしれません。現在は「これ!」という一種類しかない、という可能性も……低くはあれども否めません。

おおよその場合、ガイドはエンパシー能力(時にはテレパシー能力)を持つ、とされることが多いように感じます。
このエンパシー能力でセンチネルに対し適切な呼びかけを行い、「ゾーンから出す(ゾーンアウト)」させることがガイドの大きな仕事です。
あとは、精神的に強く結びついたガイドの存在がセンチネルにとってアンカー(錨)となり、相性の良いガイドを持つセンチネルはゾーン入りに対して強固な耐性を持つようになったり、高度な安定出力や、逆に感覚を鈍くさせたりも可能になったりもします。
逆に言えば、ガイドを持たないセンチネルは日々発狂の恐怖にさらされながら生きており、早死にしたり狂ったりすることが多い――と多くの話では設定されています。
一度ガイドを持てばつがいとして生涯連れ添う、という設定の場合もあれば、高位のセンチネルは複数のガイドを持つ、という設定の場合もあります。
センチネルがガイドを所有物として扱って良いという法の世界では、ガイドの社会的地位は低いかもしれません。ガイドを虐待するセンチネルもいるかもしれません。
それらの設定を採用している世界観の場合は、ガイドが自らの能力を隠して一般人として暮らしていることも多くあります。
オメガがベータと偽るようなものですね。

そのオメガバースだと思春期頃に判明することも多い第二性ですが、センチネルの場合はその発現の仕方もさまざまです。

生まれながらにして能力に目覚めたセンチネルもいれば、トラウマが鍵となって発現するセンチネルも、思春期に目覚めるセンチネルも、三十路にもなって突如目覚めるセンチネルもいます。
ガイドがエンパシーやテレパシーを持つ設定の場合は、発現の仕方もセンチネルと同様様々です。ただ「センチネルの運命のつがいであるというだけの一般人」の場合は、本当にただの一般人です。
十三歳かそこらぐらいで、学校でテストを受けてセンチネル値とガイド値を測る、という設定の世界観のものもあります。

センチネルバースには「Sentinel and Guide are known」という世界観があります。つまり、センチネルやガイドの存在が一般的に広く認知されている世界です。
日本の多くのオメガバースもこの「are known」の立場をとっているようですが、中にはセンチネルがある種の超能力者もののように、能力をひた隠しにしている場合もあります。
あるいはあまりにも特殊な存在で、神話や伝説でしか伝わっていない、という場合もあるでしょう。

センチネルが広く知られた世界観では、おおよそ、英雄や新人類として扱われていますが、危険性の高い生物、と見なされている場合もあります。
以下のような例があるからです。

・野生化
Feral behaviorと呼ばれるものです。
アルファもの、シフターものとしての性格の強い作品で多く見られます。
BL的にはだいたいガイドが攻撃されたりモブレされたりされかけたりすることによってこの状態になります。
怒り狂い暴れ回り、それがガイドの呼び掛けでおさまったりします。オメガバースのアルファと似たようなものです。
受けセンチネルの場合は野生化の方法ももう少し違ったものになるでしょう。あまり強調されることはありません。

この性質によって、もてはやされるセンチネルも実は恐れられており孤独であるとか、ガイド的能力がある者たちが暴力を振るわれることを恐れ、それを隠す、ということもあります。

それでも大体において、主人公であるセンチネルとガイドは運命のつがいでラブラブします。
この「つがいもの」において――オメガバースのように――ここ重要でしょ!というのがボンディングです。

・ボンディング
Bonding――契約や契りといったものです。
BL的にはだいたいエロれば何とかなります。
私が読んだ英語圏の著名な二次創作センチネルバースは2010年頃の作品でしたが、エロの最中に首筋を噛んでボンディング的満足感を得ていました。当時、アルファものと未分化な部分もあったのかもしれません。

ボンディングの例としては、
・セックスする
・夜通しセックスする
・今までにないぐらいすごい快楽のセックスをする
・噛んだりなんだりしないとだめ
・ヨガとかそういう精神世界で通じ合ったりするだけでいい
・後述のスピリットアニマルで何かしないとだめ
などあり、ボンディングの成否も

・同類であるセンチネルやガイドが見ればわかる(なんか繋がってる状態になる)
・本人たちにはなぜかわかる
・後述のスピリットアニマルがなんかなるのでわかる
・そこらへんはもうセックス書いて満足したので省く
など様々です。

そのスピリットアニマルですが、どうもこの設定自体が存在しないセンチネルものもあるようです。

・スピリット・アニマル
ドラマでも登場していますが、バースとして活かす場合の解釈はさまざまです。
例としては、

・センチネルやガイドの相棒である動物だが、精霊のようなもので常人には見えない
・常人どころかボンディングしたつがいにしか見えない
・ちょっと霊感鋭いと見える
・そもそも相棒じゃない。センチネルやガイドはスピリット・アニマルに変身するのだ。つまり獣人ものだ
・夢の中とか瞑想中とかそういう精神世界の中でだけ変身するのだ
・既存の動物だ
・ぶっちゃけ狼だ
・アシカだったりカワウソだったりアナグマだったり様々だ
・つがい同士が同種の動物とは限らないので、アシカとカワウソが結ばれたりする
・つがいのスピリットアニマルだけは何となくわかっていて、「どこにいるんだろう私の白鳥は」って探していたりする

と様々です。
スピリット・アニマルを何にするのか、どういう存在にするのか、どういう動物にするのかは、作者の腕の見せ所です。

こういった彼らと外界とのかかわりは様々です。
センチネルは基本的にすべて軍属であったり、穏やかに暮らしている一般人であったりします。
ガイドも同様です。
そんな彼らをサポートする組織もあります。
「ギルド」と呼ばれていたり、その施設として「センター」と呼ばれていたり、様々です。
多くの異能もの(D.Gray-manや血界戦線等)のように、彼らをまとめ束ねる組織がある、という世界観のものが多いように思います。
支配的な組織でもあれば、保護とサポートに全力を尽くすいい人たちの集まりだったり、選民思想の塊だったり、絶大な権力を持っていたりします。

こんな感じで洋画・洋ドラ系の海外の二次創作界隈では、センチネルな探偵とガイドな軍医がいたり、センチネルな捜査官とガイドな捜査官がいたり、センチネルなヒーローとガイドな刑事がいたり、センチネルな化物退治とガイドな化物退治がいたりするわけです。

ぜひ皆様のセンチネルを私に教えていただきたく存じます。