今さら、セ、、、しないと出られない部屋に転送された江打刀達のドタバタ。ぶぜまつ感はほとんどないけど、ぶぜまつ。村雲はツッコミ属性持ち。※ポイピクに投げていたものの再録です。
※ここの江打刀左右は、攻め度高い順に豊前>>(越えられない壁)>>松井>桑名=五月雨>村雲です。この豊前くんはバリタチ総攻め気質だけど、松井くんしか相手にしません。よって成立するのはぶぜまつのみ。
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昼寝、畑仕事、書類整理、散歩、その付き添い。自由時間を好きに過ごしていたら、突然まばゆい閃光に包まれた。真っ白な強い光に目が眩み、意識が遠ざかる。
――目を覚ますと、そこは知らない部屋の中だった。
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ふかふかの柔らかい寝具が置かれた大きな寝台、二人掛けのゆったりとした背もたれつきの長椅子。あのガラス張りの向こうは広い浴室だろうか。いつだったか2010年代に遠征した時を思い出すなぁと、豊前は少し遠い目になった。この部屋はあの時と同じような部屋の造りだった。違うのは、どどんと異様な存在感を放つ液晶画面ぐらいだ。
どうやら、目を覚ましたのは自分が一番早かったみたいだ。豊前が部屋の中を興味深く見ていると、うーん……と唸りながら村雲が、次にのそりと五月雨が起き上がった。きょろきょろと部屋の中を見回す二振り。二振りはぴかぴかと点滅している液晶画面に気がついた。
「せつくすしないとでられないへや」
部屋の出入り口と思わしき扉の上で光る液晶画面。そこに映し出されていた文字を声に出して読んだのは村雲だった。……文字は読めるが意味がわからない。わかりたくない。お願い雨さん否定してくれと、村雲は振り向いて五月雨を見た。
「雲さん」
「雨さん……」
村雲の思いが通じたのだろうか。五月雨はじっと村雲の目を見ながら両手をぎゅっと包むように握りしめ、重々しく口を開いた。
「雲さんの貞操と純潔は守り抜きます」
雨さんが否定してくれなかったという事はやっぱりそうないう意味なのかと、村雲はがくりと膝から崩れ落ちた。お腹が痛くなってきた気がする。ううう……と唸っていると、村雲の膝をついた物音で目を覚ましたであろう桑名が起き上がった。先に目を覚ました者達と同じように、きょろきょろと辺りを見回す桑名。液晶画面に気がつき、目を向けた。そして村雲と同じく声に出してそれを読むと、重たい前髪に隠れて見えない目を剥いた。
「はあ!?何なんそれ!?」
液晶画面の上にはポップ体で「ウェルカム江のみなさん(打刀)」と書かれた紙が貼られており、それがさらにいらっとさせてくる。しかも虹色のワードアートというやつだ。これは一体誰の悪戯なのか。犯人が主だったら土に埋めてやると桑名は強く決意した。
桑名が声を荒らげる姿は戦場以外で見たことがない。村雲は思わず五月雨の陰に隠れた。それに気づいた桑名が、違うんだと慌てた。
「驚かせてごめんね。その、雲くんを怖がらせるつもりはなくて……」
「こっちこそごめん、びっくりしちゃって。桑くんのことは怖くないよ。ところで松くんは?」
「あそこにいますね」
桑名よりも先に声を荒げそうな彼がいない。村雲が彼——松井について尋ねると、五月雨が少し離れた所にいる松井を見つけた。松井は床に両膝と両手をついて下を向き、ぶつぶつと何か呟いていた。
「やられるぐらいなら僕がやる……僕が許すのは豊前だけだ……」
「松くん戻ってきて!!!!」
ぱっと顔を上げた松井には覚悟の色が浮かんでいた。腹を決めた松井の恐ろしさは江の者達ならみんな知っている。夜な夜な酒盛りを行う酒飲み刀達のせいで支出が嵩んで今月も赤字だと、討死覚悟で宴の場に乗り込んだ時の松井は今でも語りぐさで、その時と同じような顔をしていた。抜刀待ったなしだ。
「雲くんの大事なものは守るから!」
「え、桑くんもその路線なの……」
目が血走っている松井から村雲を隠すように、桑名と五月雨が立ちはだかった。睨み合う松井と桑名・五月雨。一触即発の事態に、村雲は「もう何なのこれ……」と投げやりになる事しかできなかった。
「桑さん、雲さんのためにも生贄になってください」
「嫌だよ!」
「もうやだ帰りたいこの雰囲気だけでもっとお腹痛くなってきた……」
気絶したい。気絶して起きたら元の場所に戻っていてほしい。そこの壁に頭ぶつけたら楽になれるかな……と、村雲がそんな事を考えた時だった。
「そろそろ話まとまったか?」
そういえば一振り忘れてたと、四振りは揃って声がした方を見た。豊前が二人掛けの長椅子――ラブシートにどかっと座り、彼らの話が終わるのを待っていた。豊前はとってもいい顔だった。村雲が小さく悲鳴をあげてしまうくらいには。もし犬の尻尾が生えていたら、丸くして足の間に入れていた。
「一組でいいんだと。誰が相手してくれる?松井?」
「松井!」
誰だって我が身が一番かわいい。桑名は松井を売った。これが一番手っ取り早いし丸く収まる。言い値で売られて押し出された松井も松井で、ふらふらと吸い寄せられるように豊前に近づいていった。さすが豊前、松井に対する吸引力はいつだって変わらない。
「そこ、借りてっから」
豊前が親指で指し示したのは、クイーンサイズの寝台。次の瞬間、桑名と五月雨は計算した。そこから一番遠くて姿が見えず音も聞こえない、緊急避難できそうな場所はどこだ。――ここしかない。二振りの意見は一致し、頷き合った。
五月雨が村雲を立たせてその背を押す。行き先はガラス張りの小部屋、この部屋の浴室だ。
「終わったら声掛けて!一回だけだよ!」
そう叫ぶように言い残すと、桑名は浴室のドアをバタンと大きな音を立てて閉めた。閉まる直前、了解と豊前がひらひら手を振るのがちらりと視界の端に見えた。豊前は本当にやる事が早い。もう片方の手は早々と松井のパンツを脱がしにかかっていた。
「雲さん、ガラスの向こうは絶対に見ないでくださいね」
「見たくないよ……」
村雲は何で風呂場に閉じこもってるんだろうかと悲しくなった。やり場のない悲しみとともに腹も痛くなってくる。でも、あの場に留まるよりずっとマシだ。目に入らないよう、ガラス張りに背を向けていればいい。この中が防音で本当によかった。
「時間もあることですし、何か詠みましょうか……」
「雨さん、目の焦点が合ってないよ……」
「この機会に僕も俳句を覚えてみようかな……」
はははは……と力なく笑うしかなかった。何でこんな事になってしまったのだろうか。いつものように空き時間で畑仕事をしていただけだというのに。大地に愚痴ろう、そして慰めてもらおう。桑名は心の中で泣いた。
桑名が俳句の手ほどきを受けたり、五月雨と村雲が来る前のあれこれ暴露大会(主に豊前と松井について)をしたりしていると、がちゃりと鍵の開いた音がした。少しすると外から「終わった」と豊前の声がしたので、三振りは浴室の外に出た。事後現場に出くわす事も覚悟したが、部屋の中はそこまで乱れていなかった。空調の換気モードは最大で動いていたが。
液晶画面には「お帰りはこちら」と映し出されている。部屋の外に転送装置があり、そこから本丸に戻れるらしい。誰の仕業か知らないが早く本丸に戻りたいそしてすべて忘れたい、三振りの心は一つだった。
だから、気怠い雰囲気で心ここにあらずの松井は見なかった事にした。
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豊前:トップオブ攻めサマなので高みの見物
松井:豊前以外にやられるぐらいなら僕がやる
桑名:頼むから巻き込まんといて雲くん守らなきゃ!
五月雨:何はともあれ雲さんを守らねば!
村雲:もう嫌だ何なのお腹痛くなってきた帰りたい
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