魍魅 魎
2016-01-09 01:59:05
2462文字
Public 二次
 

【ヴァルプロ/腐】貴方の反応を見るのが堪らない

※説明読んで、自衛してね!!
結構前に形になってたけど、今更過ぎてどこにもあげてなかった「バトラック×ジェイクリーナス」です。需要はないし何故今かはわからないけど書いちゃったから……。


ダンジョンを踏破し、戦乙女が湖畔でひと休みしようとエインフェリアを全員解放した。
ダンジョン踏破で疲労の残る者は一休みして早々に戦乙女の中へ帰っていったが、戦場に出ていない者は久しぶりの外界に羽を伸ばした。


「やっぱり外で吸う煙草は違うぜ」

バトラックは戦乙女達から少し離れた小高い丘の上でで、倒木に腰掛け煙草をふかしていた。
精神体になってもエインフェリアとして居るためか気分だけだと思うが疲れるし腹も減る。呼び出されて戦い傷つけば痛いし、限界になり戦乙女にかえる時の感覚は正直何度も味わいたいものではない。

「女神さんよ、どうせ今日はここで休むんだろう?街までいかせてくれよー。」
「街までいくなら買い出し行かせるわよバトラック!」
「おーおー、こえぇな。へいへい、大人しくしてますよ。」

戦乙女の隣でどこから取り出したのか本を広げていたメルティーナの怒声が飛び、バトラックは肩をすくめた。

「やっぱり地に足着いているってのは良いぜ」

腰掛けていた倒木から飛び降り、草原に寝転がる。土の臭いや柔らかい草の感触が気持ちいい。日差しが暖かで、くわえていた煙草を吸い終わる頃にはうとうとしてきていた。

「ふわぁああ。なんかあれば呼ばれるだろ……

誘われるまま、落ちていく意識に身を任せた。




どれ程経ったのだろうか、陽はすっかり落ち星が雲間に覗いていた。パチパチと音がし、温かい。音の方へ目を向けると焚き火が赤い炎をともしていた。誰かが気をきかせて火をともしてくれたのだろうか。

……よく、眠っていたな。」

不意に頭上から降ってきた声に、バトラックが身体をおこす。

「あ、ああ……あんたか。」

倒木に腰掛け、火の番をしていたのはジェイクリーナスだった。

「アリューゼからの差し入れだ、飲むか?」
「おっ、酒じゃねぇか。頂くぜ。」

隣に置いていた酒瓶をバトラックへ示すと、バトラックは満面の笑みでジェイクリーナスのとなりに腰掛けた。

「お前も付き合うか?」
「いや……

酒瓶の蓋を開けながら視線を向けると、ジェイクリーナスは焚き火の方へ視線を向けたまま首を横に振った。その仕草に肩をすくめると、バトラックは酒を仰いだ。喉を焼く酒の感覚が一度失ったものとは思えない。
ふと視線をやると、湖畔の近くにも火の明かりがみえた。おそらく戦乙女たちが居るところだろう。微かに笑い声も聞こえる。
視線を戻すと、ジェイクリーナスが静かに灯を見つめていた。

「女神さん達、街へ行ったんだよな。」
「ああ、メルティーナが街で見たいものがあったらしい。」
「なんだよ、行くなら起きてりゃ良かったぜ。」
「ジェラードと一緒に付いていったアリューゼはげっそりしていたぞ。」
……いかなくて良かったぜ。」

笑ってジェイクリーナスの方を見ると、彼は微かに目を細めるていた。一見無表情な彼の柔らかい表情を見ることができるのは稀だ。

バトラックがジェイクリーナスの事を気にかけだしたのは最近の事になる。年齢が近く武器が一緒な事もあり、同時に召喚されたときは組むこともあった。
組んだときの状態としては、無口なジェイクリーナスが、口の軽いバトラックの話を頷いて聞いているだけだ。ただそれだけだが、戦っているときの姿、女性陣に絡まれて戸惑う姿、微かに纏う空気が和らぐ感じが目につくようになった。
いいなと思いながらそれを見ていた事を自覚して好意を抱いているのだろう事に思い至るのはすぐだった。

「(まあ美人の姉ちゃんなら、がっつくんだけどな。こういうのはむず痒いが、嫌いじゃねぇなぁ。)」

木のはぜるパチパチという音を聞きながら隣の無口な男に軽く視線をやる。邪魔されない居心地のよさに少しずつ酒を飲んだ。

「なぁ、あんたは何でまたここで火を焚いてくれたんだ?」
「邪魔だったか?」
「そうじゃねえよ。あっちの方が良かったんじゃねえのか……とおもってよ。」

そう言って、もう一つの火の光の方へ視線をやる。

「ここの方が良い。」
「ーー……そ、そうか。」

酒瓶も半分まで減り、一息つこうと煙草をだしてくわえると、ジェイクリーナスがじっとバトラックを見ていた。この存在感の希薄な男の目がバトラックは気に入っていた。

「どうかしたか?」
「一本貰えないか?」
「ーーーあんた吸うのか。」
「そう言う気分の時もあるさ。」

一本差し出してやり火をつけてやる。
ジェイクリーナスは煙草を唇に軽くくわえ、しばらくして大きく吸い込んだ。

「ふぅ……

吐き出した煙が空にとけていく。煙を吐き出し、ジェイクリーナスの体が微かに弛緩する姿に目を奪われていた。

「あんた、自分の色気に気づいてなさすぎ……。」
「ん?ーーーー!?っ」

ジェイクリーナスの煙草を持つ手を掴み、バトラックは衝動にかられるまま唇をうばった。
軽く二、三度啄むように口づけた後、ばつが悪そうにバトラックがジェイクリーナスから身体を離した。

「へへっ、わりぃな。」
「ーーーもう戻る。」
「待てよっ」

呼び掛けに微かに歩みが止まりかけるが、ジェイクリーナスはそのまま戦乙女達の方へ行ってしまった。
立ち上がる寸前に見えた彼の顔が赤らんでいたのは見間違いではないはずだ。足早に遠ざかる背中は、軽蔑されたのか判断もできない。
彼がもう一つの焚き火へたどり着いてすぐに、微かに焚き火とはちがう光が見えたから、戦乙女へ隠れてしまった様だ。
バトラックの顔には笑みが浮かんでいた。

「馬鹿みてぇだ。こんなの久しぶりだ。ーーこれからどうすっかな。」

引かれたか、嫌悪されたか。

「(あれを振り向かせるのは大変だろうなぁ、相当吃驚してたぞ。あんな表情するんだな。ま、いい楽しみができたぜ。女神さんにお願いしたら一緒に召喚してくれるかな)」

大きく吸い込んだタバコの煙を吐き出しながら、バトラックは笑って空にとける煙をわらって見ていた