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魍魅 魎
2015-09-19 23:24:53
1737文字
Public
二次
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【特車二課】ある夏の日 / ひろごと
サーバー閉鎖でさよならしたサイトに載せてた古い作品。山崎+後藤隊長。
両手の指が必要なくらい前の作品、手直しできなかったのでこのまま再掲載する。
このカプってあったの?名称も分からないので勝手につけてますが…。
私今でも推したい組み合わせなんですけどね。同志いないだろうなぁ。
ある夏の日.
お盆手前で珍しく許された5日間の長期休暇.
沖縄出身の山崎は、滅多に帰れぬ実家へと帰ってきていた.
ジリジリと照りつける太陽.頬をすり抜ける風は海の香りを乗せている.
特車2課の埋立地も海で囲まれているが、あそこの海とここではやはり臭いも違う.
澄んだ空には雲一つない.
縁側に座り、庭を眺める山崎の目はいつも以上に柔らかだった.
このままこの風景に溶けていくような雰囲気さえある.
にゃぁ.
不意に響いたネコの鳴き声が夢うつつだった山崎を現実へ引き戻した.
慌てて自分の周りを見回すと、小さな黒猫が山崎の近くに歩み寄ってきていた.
「真澄か
…
、脅かさないでくれよ.」
微笑んでから真澄と呼ばれた黒猫を抱き上げる.嫌がらないのを見て、そのまま膝のうえにおろす.
母親によれば、ある日父親の遺影の前に座っていて、そのまま家の住人となったのだそうだ.
頭の辺りから背中にかけてゆっくりとなでる.滑らかな毛並みはとても気持ちが良かった.
顎の下をなでてやると気持ちよさそうに唸る.
気持ちよさそうな猫の表情を見ていると、山崎も眠気の襲われてきたようだった.
瞼が少しさがってきている.
「背中、借りるぞー.」
聞きなれた
…
しかもこの緩やかな空間にとても似合う間延びした声に、山崎が目を見開く.
「えっ!?はっ・はい.」
緩やかな重みに、驚いて山崎の顔が赤くなる.
山崎の背中にもたれているのは、特車2課第2小隊隊長の後藤だった.
似合いすぎる黒縁の眼鏡をかけ、何か厚めの本を広げている.
長期休暇を同時にとったことと、後藤の要望により後藤は山崎の実家へきていたのだ.
山崎の家へ世話になり、地理に詳しい山崎に案内をさせて沖縄観光をする目的だった.
「
……
嫌ならどいて構わんが、どく時は一言よろしく.」
ひっくり返るから
…
とそっけなく付け加えて言う後藤の言葉に、山崎は静かに頷いた.
山崎の膝の上で、ネコが大きなあくびをした.
競い合って鳴く虫の声も、遠くに響く近所の子供の声も
そよぐ緑の音も、そこでは全てが緩やかに流れる風のようだった.
どれほど時間が経っただろうか、気づけば少々日が傾きだしていた.
うとうとしていた山崎は目をこすり、かすかにかかる背中の重みに姿勢を正した.
山崎の膝の上では、猫が気持ちよさそうに寝息をたてている.
「ふぅ
…
」
小さく、後藤が少々疲労を含んだ息をはいた.
「どうかしました?」
跳ねる様に山崎が言う.
すると、後藤は今までよりぐっと山崎の背中にもたれかかった.
「別に
…
。無理に俺に付き合ってくれなくていいよ?背中にもたれられるのって、疲れるでしょ。」
よく見てみれば、後藤の手にしている本のページは、ほとんど進んでいなかった.
それを隠すように本を閉じる.
「いえ、大丈夫ですよ。それに膝の上で真澄が寝ちゃってて立てないんです。」
「真澄って?」
「ネコです。」
「あ、さっき抱いてた黒猫?」
「はい.母が飼いはじめたらしいんですが
…
.隊長は
…
猫ダメでした?」
「いいや.」
そう言うと、床と服がすれる音がして、山崎の背中から重みが消えた.
「あぁ
…
結構小さいんだねェ.」
気づけば、後藤は山崎の隣へ座りなおしていた.
その気配を感じてか、猫が瞼を上げる.
「子猫?どれくらい?」
山崎の膝の上に乗った猫へ手を差し出すと、猫の小さな前足でぱすっと抑えられた.
「生後三ヶ月ってところじゃないですかね
…
.抱きます?」
「うん.」
山崎から猫を受け取ると、後藤は慣れた手つきであやしていた.
「(似たもの同士
…
かな?)」
笑いながら山崎が後藤と猫を眺めていると、ふとその頭が自分の腕の方へともたれかかった.
「
…
隊長?」
「
………
いな
…
.」
「はい?」
「猫が羨ましいなぁと思ってさ.」
心地よさそうに山崎にもたれて、後藤は自分の手であやされている猫を見下ろして笑っていた.
「たしかに、猫は気ままに生活できますからね.」
「そんなんじゃないよ.」
「?」
後藤の膝の上で、猫が二人をみあげていた.
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