魍魅 魎
2015-07-29 01:52:55
1460文字
Public 創作
 

【if】貸し【ブラッディサニー組】

※怪我・流血表現有。
アル・シャインとレーヴ・ウェイクマンが相方になるまでにこんな切欠があったら
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「(しくじったな)」

生暖かく濡れる腹部を押えて路地裏の物陰に身を潜める。
手のひら大の金属の破片が刺さった箇所を抑えるがじわじわ溢れ出る液体は止まりそうにない。

今回引き受けた依頼は面倒な相手な上、同業者だった。
爆薬を得意とし派手な事を好んだ相手はどうやら様々な方面に敵を作っていた様で
今回かなり力のある政治家から直接依頼が持ち込まれたらしい。

かなり面倒な依頼としてほかの奴らに避けられていたものを受けたのは気まぐれであり
斡旋屋の押しに負けたからだが爆薬好きが自爆するかもしれないことに考え至らなかった事を悔やんだ。

「いたい?」
「!?……見たとおりだ。」

きっと自爆に思い至らなかったのは請け負う際に彼がいて動揺したからだろうか。
また、組んでもいないのに仕事に付いてこられたからだろうか。

獲物を追い詰めた頃には気付けばいなくなっていたが、
爆発に巻き込まれてはいなかった事を確認して小さく息をはいた。

追手が来る。ここから離れろ」

話しかけるが、彼、ウェイクマンは動かない。
爆発に伴て起きた火災で、大通りでは小さいものの騒ぎが起きている。

「むしろお前が追手か?」

睨むように問うも彼は答えず、
いつもの笑い顔ではない不思議そうな顔をして私の顔を覗いている。

「(寒い。血が流れすぎた)」

元々低い体温が流れ落ちる液体と一緒に下がっていく。
そろそろ意識を保つのが困難になってきた。

「アス、あんたはどんな夢を見るの?」

やっと口を開いた彼の急な問いに考えを巡らせる前に意識を手放していた。







目を覚ますと見覚えのある部屋に、血と薬品の臭い

………
「やっと起きたか死に損ない!」

かけられた大声に痛む身体を起こすと、いつも世話になっている老医師が豪快に笑いながら近づいてきた。
この人がいるということは――
身体を見下ろすと深い腹部の傷含め、身体中の擦り傷諸々の手当がされている。

「何故?」
「お前の相方が半殺しにした情報屋引きずって呼びに来たのさ。俺の住処位、相方には教えておけよ。たまたま聞いた情報屋が俺を知ってたんだからな。相方に感謝しろよ。」
「相方?」
「何言ってんだ、そこにいるぞ。お前が誰かと組むなんて珍しい。」

老医師が顎でしゃくった先、自分が横たわる簡易のベッド脇で薄い毛布の上に小さく丸まる姿を見つけた。初めて見た時と同じだ。

「組んではいない。」
「そうなのか?にしては只事じゃない様子でここに押し入って来たんだが……まあ、感謝しとけよ?俺とそいつにな。あのままだったらお前、確実に死んでたぜ。」
「そうだな。」
「ああ、そうそう。きれた包帯やら買い足してくるから、留守番頼む。」
「わかった」

出ていく老医師を見送ってから、痛む身体を動かし彼を見下ろすと
軋んだベッドが微かにたてた音に起きたのか、彼がもぞもぞと身体を起こした。
もとより眠っていた訳ではないのかもしれない。

「ーー動いてる」
「お前のお陰らしいなウェイクマン。なぜ助けた?」
あたたかいところが好き。だからあたたかい場所へ連れて行かなきゃいけない。俺も好きだし、あの場所ははんたいだった、赤くて痛くてあたたかいけど黒くて暗くてつめたくてつめたいから。」
……そうか。」

あの時私が言った事を覚えているのか、よく分からないが助けられたことは事実だ。

「大きな貸しだな」

私の言葉を聞いて、彼がにへらっと笑った。