ゆい
2023-12-19 14:09:27
606文字
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はなわずらい

【宗みか】短編。花を貰う話


「お師さん見て!お花もらった!」
「‥少しは落ち着かれないのかね。折角の花々が散ってしまうのだよ」

扉を蹴飛ばす勢いで室内へ飛び込んで来た影片の蛮行に、大きな大きな溜め息が漏れる。ただいまよりも先に姿を見せた花達は、影片の両手から溢れんばかりに咲き誇っている。今が一番美しい時なのだろう、色彩が目に痛い程に各自眩しさを競い合っている。これ程の花束を無償で手に入れるとは、彼は一体何をしたのだろう。仕事かアルバイトかプレゼントか。彼のことだから最悪拾ったも有り得るけれど、一応貰ったと言ってるのだから問い詰めるのは止めておこう。しかし、花瓶が足りるだろうか。花とは、一本ずつ水切りをして彩りとバランスを考えて活けていくものだ。この量だ、この後の予定は一旦全て組み直す必要があるだろう。せっかくのオフなのに。二人きりのオフなのに。

「お師さん?何したん?お花気に入らんかった?」
「花に罪は無いだろう。悪いのは何時も君だよ」
「おれ?まぁ確かに出来損ないやけど‥くしゅん!」

拡張も気品も無い生理現象が麗しの顔をみっともなく歪ませる。派手なくしゃみをして、それでも懲りずにへらりと照れる仕草に二度目の溜め息。本当に君は僕のスケジュールを乱す天才だ。花瓶の前にティッシュを取りに行かなくてはいけなくなったではないか。鼻をかませて花を飾ってようやく華のように笑う君を見るまで、一体あと何時間かかるのだろう。