窓を開けると、家の中に風が通る。風車がカラカラと音を立てた。夏の間は風鈴を飾り涼やかな音をさせていたが、今は代わりに風車を刺してあるのだ。
モールで物干し竿の端に結びつけてある。
そこには、外側の皮がすっかり茶色くなった玉ねぎが吊るしてある。近所の農家を手伝ったときに分けてもらったものだ。貧乏な家だから仕事のついでに食べ物や消耗品を分けてもらえたりするのは本当に助かっている。
玉葱の塊の中から、一つ手に取る。
半分をコンソメスープにして、半分は炒めて柔らかくしたあとに、オムライスにでも入れよう。頭と根っこを落としてから茶色くなった皮を剥く。白くてみずみずしい中身が露わになった。
くし切りにして、半分は鍋に入れもう半分はフライパンに。透明になるまで炒めてから、味付けした溶き卵を流し込み、端から畳んでいく。面倒だから薄く作って順番に畳んでいくようなことはしない。
三つ折りか最悪二つ折りになっていればお皿には乗る。
食事の用意ができると、私はまだ寝ている人を起こしに行った。私の同居人である。寝坊なわけではなく、仕事が夜遅いだけだ。私は逆に朝早い。生活時間帯が重なっている間だけ、家族になる二人は身を寄せ合ってなんとか生活している。
布団に埋まっている方は他でもない、風車をもらってきた人だ。
性格の違いだろうか。私はどこかで手伝いをしたときは、食べ物ばかりわけてもらうのに、向こうは風車だとか風鈴だとか実用的でないものばかり貰ってくる。
どうせなら食べ物を、と私は思うのだが、同時に私は生活を少しだけ彩るものをもらってくる方が、人間性が豊かだと言われている気がして少しだけ嫉妬してしまうのだ。
「ご飯できたけど、食べる?」
声をかける。起きたら食べる。起きなければ食べない。その二択だ。
布団の塊が動き中身が出てきた。
夜の時間帯に生活しているから、肌が不健康に青白いままだ。夜の街の明かりの中では、それが怪しく人を魅了することを知ってる。
夜が最も似合う人。
今後も二人の生活は一部しか重ならないままなのだろうと思いながら、食卓を囲んだ。
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