寝ていると首のあたりが妙にもこもことして暖かい。邪魔な何かを退かそうと思って手をやると、ミャと小さく抗議するような鳴き声が出て、退かそうとすると爪を立てられたので仕方がなく手を引っ込めた。そういえば子猫を預かったのだった。ティカが首に手をやったのを寝ているところを邪魔されたと思ったらしくしばらく首回りを動き回って場所を調整した。くすぐったかったがこちらが動くと相手も動く。少しの間辛抱した。
子猫のための寝床は用意されているというのに、ベッドの中を最も寝心地のいい場所と定めたようで何度戻しても夜になると潜り込んできている。
ティカはケイムヴォルクの腕の中で眠る。そこは暖かくて心地がいい特等席だ。そのティカの懐の内側が、この部屋で一番暖かい場所というのが子猫の判断らしい。腕の中にいるならまだ可愛げがあるものを、大抵は首に肉球を乗せて暖をとっている。重たくて寝苦しいことこの上ない。
「ティカ、起きたんですか?」
ケイムヴォルクの声がした。起きたのはティカではなく子猫の方だ。
「寝ている」
「起きてるじゃないですか」
苦笑いとともに大きな手が髪を撫でていく。ついでにティカの首元に乗っかっていた猫も撫でた。自分を撫でようとしている手とどかそうとしている手の見分けがつくらしく、ケイムヴォルクに撫でられているときは抵抗せずに大人しくしている。どうやらこの子猫は、出会い頭に無理やり風呂に入れて体を洗ったティカではなく、ケイムヴォルクの方に懐いているらしかった。
軒下で生まれた野良猫と聞いていたので、手足や顔が茶色くなっているのを汚れと思ったのだ。しかし体の末端だけ黒いのはそういう毛色故らしい。通りで入念に擦ったのに白くならないと思った。
尻尾の先や髪の毛の先っぽだけ黒く汚れたようになっているティカは、その点だけは共通点を感じた。ケイムヴォルクが自分と間違えてしまったのも、少しだけ理解できる。
こんなに甘えたがりな子猫ではないが。
ケイムヴォルクに撫でられてゴロゴロと喉を鳴らす、その細かい振動が喉に響いていた。
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