光に焼かれて白く色を飛ばしたケイムヴォルクの右目へ手を伸ばす。ティカ・ア・ジャロウの身長では背の高い彼の顔に触れるのは難しい。だが向こうから迎え入れるように背を屈め、視線を合わせくれた。触れるのに邪魔になる眼鏡を外すと、瞳の色がはっきりとわかるようになる。
顔を寄せると目を閉じたので、そのまま瞼にキスをした。くすぐったそうに喉を鳴らす。
理由を問うことも一切の疑いもなく顔を寄せてくる様を見ていると不安になる。
「私が悪いことを企んでいたら、どうするんだ?」
ケイムヴォルクは恐る恐る目を開き、少し悩んだあとに破顔した。
「ティカはいたずらっ子ですからね」
「そういうことではなく」
普段しているような恋人同士の戯れあいではなく、もっと本当に悪いことだ。傷つけようとしたり騙そうとしたり、ケイムヴォルクはそういう人の悪意に鈍い。知らないわけではなく、痛い目にあって傷つけられても、なお人を信じているのだ。
より良い可能性を手にできる一欠片の可能性を手放すことができない。だから誰かを救いたいと願っているのに傷つけられ、傷を負っているのになお進むことを止めない。そうして進み続けた彼の体は、目に見えるところだけでなく服の下も傷だらけだ。
「私は君が思っているほどいい人間じゃない」
「おれもティカが思っているほど優しい人間じゃないですよ」
「そんなことはない」
全幅の信頼を寄せて、無償の愛を注いでくれる。血のつながりがある相手からすらそれを受け取ることができない人間がいるのに、少し前まで赤の他人だったケイムヴォルクがそれを手渡してくれるのは、奇跡に近いことだ。
「君がいてくれて、よかったと思っている」
「そうであれば、おれも嬉しいです」
ティカは諦めてしまう人間だ。必要であれば尊いものでも手放してしまう人間だ。一人だったら諦めてしまったかもしれない瞬間が何度もあった。そんなとき側にいて諦めたくないと手を伸ばし続けてくれるケイムヴォルクがいるから、前に進むことができた。
彼の前に立って盾を構えているが、ケイムヴォルクの背中に守られてもいるのだ。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.