望月 鏡翠
2021-12-24 07:17:34
890文字
Public 日課
 

#487 猫になってしまったのかと

FF14創作/#毎日最低800文字のSSを書く

 世話はしないと言ったもののベッドに入れても問題ないくらいには、綺麗にしてやることにした。子猫を連れて一緒にお風呂に入る。ケイムヴォルクが起きていたら、きっとふわふわで真っ白にしてくれたのだろうが、朝早かったから先に寝入っている。何とか自分なりに洗ってみたのだが、暴れ回って綺麗にならなかった。泡を流しタオルで巻いて乾かすと、弾丸のようにバスルームから飛び出していった。ドアも窓も閉めてあるからどこかに逃げ出していったりはしないだろう。
 バスルームにいるのでティカはそのまま自分の体を洗った。細かいことに頓着しない性格だから、猫を拭いたあとのタオルでそのまま髪の毛を拭く。
「もしかして、ティカですか」
 猫が飛び出していったベッドルームの方で声がした。ケイムヴォルクが起きてしまったのか。見知らぬ猫が部屋の中にいて戸惑っているかも知れない。髪の毛を拭きながら部屋に戻ると、子猫はケイムヴォルクの腕の中に大人しく捕まえられていた。
 毛並みを撫でられ、匂いを嗅がれているが逃げ出す様子がない。ティカが抱き上げたときとは随分と態度が違う。暴れ回ったあとだから眠たくなっているのかも知れない。それともベッドで寝ていたケイムヴォルクは体温が高いから、気持ちが良かったのだろうか。
「大丈夫ですよ、ティカ。おれがちゃんと面倒を見てあげますからね」
 ケイムヴォルクが声をわななかせながら、子猫を抱きしめた。
「何をしているんだケイム?」
「ぬわー!!」
 大声に驚いて、子猫は毛を逆立てた。ティカもびっくりして尾が膨らむ。
「ティ、ティカ?! ティカが二人」
 ケイムヴォルクは手の中にすっぽりと収まってしまいそうな子猫と、ティカを何度も見比べた。
「寝ぼけているのか?」
「猫になっちゃったんじゃないんですか」
「ミコッテ族は猫ではない」
「おれのベッドにこの子が入ってたんです」
「このコテージの猫だ。しばらく預かることになった」
「そ、そうだったんですね、おれはてっきりティカが……
 もう一度確かめるように、ティカと子猫を見比べてケイムヴォルクは言葉の続きを飲み込んだ。