エプロンドレスをきた自分の姿を見下ろす。裾が広がって足元が見えないことだけが難点だ。スカートは足元がふわふわとして落ち着かないが、慣れれば尻尾穴の位置を気にしなくていい上に動きやすい。機能的な服なのではないかと思えてきた。
似合っているかどうかは、姿見がないから確認しようがない。どちらにしろティカは他人からどう見えるのかにあまり頓着しない性質だ。ケイムヴォルクが喜んでくれるのだから、それでいい。
やがて部屋の鍵を開ける音がした。
出迎えにケイムヴォルクの悲鳴に似た叫び声が応じた。
「ぬわ! ティ、ティカどうしたんですか?」
「ん? 君がくれた服だ」
その場で回って見せるとスカートの裾がふわりと広がる。
「おれ、が?」
信じられないものを見る目で、ティカを上から下までみたあとテーブルの上に置いてあった包みに駆け寄って、注文明細を確認して顔を覆った。
「ごめんなさい。ティカ、おれ頼むもの間違えていて」
「これじゃなかったのか」
ふるふると首を横に振る。
「着ない方が、よかっただろうか」
返品しようにも、一度袖を通してしまった。これを着て彼に見せたら喜ばれると思ったのだが、余計な世話だっただろうか。尻尾と耳がへたりと地面を向いた。
「そんなことないです。とても似合ってますよティカ。かわいいです」
両手で頬を挟んで撫でてもらうだけで、すぐにティカの耳は平生の元気を取り戻した。
「君も着るといい」
「え? いえ、おれはこういう服は似合わないので」
「約束だっただろう。着るのは私が手伝おう」
一度交わした約束のことを持ち出されると嫌とは言い出しにくいらしく、ケイムヴォルクは渋々包みを開いた。ひらひらとした服を見下ろす。ティカと全く同じ意匠をしているがサイズだけが違う。
「本当に着るんですか」
「うん。似合う」
ティカが確信を持って詰め寄ってくるのでいよいよ断れず、ケイムヴォルクは服を脱いだ。服に付属する諸々のアイテムを確認し、ドロワーズを恐ろしいもの見る目でつまみあげた。
「これは」
「スカートの下に履く」
着用例を見せようとすると、ケイムヴォルクは慌ててティカのスカートの裾を抑えた。
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