望月 鏡翠
2021-12-13 20:01:40
1043文字
Public 日課
 

#476 ダルトン家滞在日記13

FF14創作/#毎日最低800文字のSSを書く

 足も手も重い。重くて前に進めない。僕はいい。息がする度に苦しくて、肺が破れてしまいそうだ。でもジェストがもう走れない。ここに戻ってくるまでにジェストは疲れ切っていた。誰にも見つからないように僕たちは家を抜け出した。
 僕の家の方に行ったはずのジェストが、戻ってきた。見つかってしまってもうここにいられないっていっていた。やっぱり、ダメだったんだ。ジェストの優しさに甘えた僕が馬鹿だった。おいしいご飯と柔らかい寝床と暖かい服。そういうものが僕は欲しかった。僕たちは苦しいのも悲しいのも何でも分け合ってきた。それなのにいきなり一人と一人に分けられてしまった。辛いのも痛いのも一人じゃ背負いきれない。もうだめかもしれないと思った。だめだと思ったのに、ジェストが助けてくれた。ジェストは僕のことを見捨てない。
 でもジェストはどうなるの?
 折角お金持ちの家にもらわれて幸せになれるところだったのに、半分を僕にわけてしまった。
 物を盗むのは悪いことだ。僕のせいでジュストも捕まってしまう。息子のふりをするのは一体どんな罪になるんだろう。
 捕まったらどうなってしまうの。なんて言ったらジェストは許してもらえる?
「ジェスト!」
 後ろの方で叫び声がした。見つかってしまった。もうだめだ。
 後ろにいたジェストが先に捕まった。灰色の髪のミコッテ。お父さんのお客さん。ジェストが、目が怖い人だって言ってた。僕はこのときに初めてきた。あの人はきっと僕たちを裁くために呼ばれたんだ。
「逃げないでくれ。伝言がある。君たちを無理やり捕まえていくつもりない」
 嘘だ。大人は僕たちの話なんて聞いてくれない。自分たちの都合ばっかりだ。二人で一緒にいたいというだけのことなのに、叶いやしない。でもだからこそ、ジェストが捕まってしまったのなら、僕はもう逃げることはできなかった。
「君たちが本当に誰の手助けも必要なくて、二人だけで生きたいのなら止めない。そのままこれをもってそのまま行きなさい。だが、そうではないのなら、助けが欲しいのに誰にも手を伸ばせないと思っているのなら、君の今までの人生に頼れる人がいないのなら、帰ってきなさい。ジェストもジェストの兄弟もだ。ダルトンはそう言っていた」
 どうして。僕たちは、二人きりだったのに。
 本当のお父さんじゃないのに。何でそんなことをいうの。
 僕たちを捕まえにきたミコッテは、ダルトンから預かってきたという小さな皮袋を握らせた。その中身は、金貨だった。