望月 鏡翠
2021-12-10 19:22:30
1009文字
Public 日課
 

#473 ダルトン家滞在日記10

FF14創作/#毎日最低800文字のSSを書く

 通信してすぐに部屋を確かめてもらったが、ジェストは家にいた。どんなに急いでいたとしても、ティカが追っていた子供が引き返して間に合うわけがない。なら、家にいてジェストと呼ばれていた子供はずっとそこにいたのだ。
「一体何があったんです」
 ダルトンは頼んだ通り屋敷の中の人手を集めて、ティカがいた場所まで駆けつけた。
 追いかけていた子供がジェストであったということを伏せて、何が起こったかを端的に説明する。屋敷まで来ていた子供のあとを追いかけたら、獣に襲われていた。そのまま姿を消してしまったので、安全に家まで帰れているのかどうかわからない。
 ダルトン氏は喜んで捜索に手を貸してくれた。子供の身なりが貧しい風だったことを告げても、自分たちに関係ないと見限ったりはしなかった。日が落ちてから明かりも持たず、家の者にも知られずに屋敷に忍び込んでいたのなら、盗人であるだろうと想像するのが普通だ。いやそう推測した上で、何も聞かずにいてくれているのだ。
 街まで無事に戻ってくれているのならいうことはない。ティカがいた場所から街までの道のりを重点的に調査をすることにした。
 集合場所を決めて散開した途端に、ケイムヴォルクはティカを捕まえた。
 治癒魔法をかけながら声を低くして尋ねる。
「何があったんですか?」
「多分、ジェストは双子だ」
 ダルトン氏はそんなことは言っていなかったし、人柄を考えても双子を引き剥がして片方だけ引き取るようなことはしないはずだ。子供が以前暮らしていたという孤児院に聞いてみなければいけないが、そうでなければ同時に二人の人間が別々の場所にいるはずがない。
「兄弟が会いに来ていたっていうことですか?」
「いや、多分入れ替わっていたんだと思う」
 捕まえた子供はティカの顔をみて、父の客人だといった。
 急に口を聞かなくなったのは、入れ替わりがバレないようにするためだ。話せば何かボロがでるかもしれない。あるいは双子と言っても、声が違うのかもしれない。
「なぜそんなことをしたのかは、本人たちに聞いてみるしかないが」
「ともかく今は、逃げたっていうその子を見つけるのが先ですね」
「うん」
「でもティカ、何もいわずに出て行って怪我をしたことについても後で聞きますからね」
「う、うん」
 どんな強敵を下しても、ケイムヴォルクにだけは頭が上がらないのだ。ティカの耳がしょんぼりと下を向いた。