進むべき方向はわかった。あとはモンスターのなわばりに踏み込み、敵を確認。可能であればそのまま排除する。モンスターの群れに対してこちらは二人。少人数のパーティーは機動力と隠密性には優れるが、決して無理の効く構成ではない。
ましてこの森は敵の領分だ。
「攻め入れそうならこのまま討伐するが、無理は禁物だ」
「無理をするのは、いつもティカの方です」
「そんなことはない」
窘めるようにケイムヴォルクの指先がティカの頭を小突く。しかめつらしい顔を作って見せたが、長くは続かなかった。しばし笑い合ったあと、二人は気持ちを切り替え戦いに赴くときの顔に切り替えた。
前方をティカが、後ろをケイムヴォルクが警戒する。
僅かも進まないうちに、ティカは後ろを歩くケイムヴォルクに尻尾をくいと引っ張られた。それはこうやって二人組で探索をするときに定めてる合図だ。密着しすぎると咄嗟に動きにくい。互いの間合いを保ったまま音を出さずに知らせたいことがあるときは、肩を叩かずに尾の先に触れる。
後ろを指差している。物陰に隠れるジェスチャーをしたので、ティカもそれに習った。
何を察知したのかはすぐにわかった。
パキと小枝を踏み折る音が、ティカの耳にも届いたからだ。
地面の近くにいる何か。気配は一つだ。手のひらを地面に当てても振動は伝わってこないし、気配は近かったが、姿は見えない。藪に紛れてしまうような、中型から小型のものらしい。
カサと今度は落ち葉を踏み分ける音がする。気配を隠しているわけではないようだ。
たまたま通っただけの野生動物だろうか。
ティカはケイムヴォルクに目配せをしたあと、声をだした。
「そこに、誰かいるのか?」
獣ならば、返事はなくとも人の気配を察知して逃げるはずだ。だが予想に反して、その気配は返事をした。
「あ、ティカ? どこにいるの」
「マーティンくん?」
ケイムヴォルクは身を隠していた木の幹から飛び出した。藪をかき分けてついてきていたのは二人によく懐いている村の子供だったのだ。
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