望月 鏡翠
2021-11-15 22:31:37
1028文字
Public 日課
 

#448 森の中の道

FF14創作/#毎日最低800文字のSSを書く

 早朝から調査のため、森に入った。森と一口に行ってもその範囲は広い。まずは居所を特定しなければいけない。ティカは落ち葉の降り積もる地面に這いつくばっていた。
 警戒を任されたケイムヴォルクは妖精を呼び出し、周囲に油断なく目をやりながらも様子が気になるようでチラチラと目線を送ってくる。
「うん」
 納得したように頷くと、四足獣の姿勢から下に戻る。
「探しているモンスターは飛んでいるんですよね?」
 確認しながら、ケイムヴォルクはティカの服についた汚れをぱたぱたと払う。この辺りによくいる鳥型のモンスターで、単体ならば狩人に駆られて食用にもされる馴染み深い種だ。狩りも移動も飛行を飛行をメインとして、地面に痕跡を残すことは少ない。目撃情報があった村の近くでも、痕跡は残っていなかった。
「まだ確認中だ。上もみたい。投げてくれるか」
「え? ああ、上ですね」
 ケイムヴォルクはすぐにその意を察し、両指を組み合わせて差し出した。軽く助走をつけたティカが手に飛び乗るタイミングで上に跳ね上げる。直上にあった枝に取り付くと、這いのぼる。樹幹に届いてしまえば、枝が混み合っているから飛び移りながら移動することもできる。確認が終わると、飛び降りた。
「びっくりするから一声かけてください。怪我、ないですか?」
「平気だ」
 いつも通りの返事に、いつも通りの呆れたため息が返ってくる。
「何か、わかりました?」
「うん」
 まず、地面。急激に一種類のモンスターが増えた環境は他の生物にとって決して住みやすい環境ではない。餌となる草食獣や獲物が競合する他の肉食獣の痕跡に変化が生じているはずである。だからまずは獣道を辿って、頭の中に森の中の動物の行動域の地図を作る。
 そして次に木の上だ。相手は小鳥ではない。それなりの数が群れになって移動すれば、それだけで枝葉が払われる。カラスがねぐらにした木の枝葉が払われて徐々に枯れていくように、定期的に繰り返されれば空中の道に等しいもの出来上がる。
 一方は村の方角へ続いている。そしてもう一方の道がモンスターのねぐらに繋がっているはずだ。
「おそらく、探しているものはあちらにいる。偵察も兼ねて先に私が」
「おれも行きます。危ないところに一人は、なしですよティカ」
 有無を言わさぬ調子で言葉をかぶせられ、ティカは隣にたつケイムヴォルクの顔を見上げる。
「わかった。君も一緒だ」
 そこに揺るぎない決意をみて、苦笑した。