見た目は一号よりチビでフカフカしてるけど、やっぱり二号の方が怖い。何を考えているかわからないし、あんまり笑わない。怒っているのって聞いたら、怒ってはないっていっていた。確かにいつもああいう風だから怒ってるわけじゃないんだろう。
二号は怖くないのかな。痛い思いをしたり怖い思いをしたり、迷子になって家に帰れなかったりしても、平気なのかな。
「毎日、帰っておかりなさいって言ってもらえなくて寂しくない?」
ただいまと言って帰って来たときに、家の中がしんと静まりかえっているとそれだけですごく寂しい。それなのに、家に帰ることもできないで、外に泊まったり知らないところに泊まったりするなんて、僕にはとても無理だ。
二号は僕の顔をみた。少しだけ笑っていた。僕の頭をまたぽんぽんと撫でた。
「帰る場所はあるんだ」
「聞いたよ。でも遠くなんでしょ?」
「そうではない。ケイムの隣が私の帰る場所だ」
「ケイムがティカのおうちなの?」
確かに一号ならコートの中をお家にできそうだけど、そんなところで暮らせるんだろうか。
「そうだ。怖いことがあれば抱きしめてくれるし、悲しいことがあれば支えてくれる。だから私は寂しくないし、立ち上がって進むことができる」
「それでいつもくっついてるの?」
「いつもではない」
そうだろうか。みんな二人は仲良しだって言ってる。ずっと一緒に旅してるのに、顔を合わせるたび久しぶりに会ったみたいに抱きついて、嬉しそうにしているからだ。
「どんなに寒い日も、彼がいてくれれば乗り越えられるんだ」
今だって、一号のことを話している間二号はとても嬉しそうだ。
「じゃ、暑い日は?」
「暑い日は、少し離れている」
「そっかぁ」
「それにマーティンが思っているほど、旅暮らしも悪いものではない。たくさんの新しいものや美しいものが見れる」
「たとえば?」
「そうだな。空に浮く島や、塩でできた湖、山みたいに大きな城や、白亜の宮殿。夢のような国もある。とにかく、色々だ」
「嘘だぁ。そんなのあるわけないよ」
「君もいつか、大人になって確かめたくなったら旅に出るといい」
「なるかなぁ。僕、おうちがいいよ」
「ほら、君が待ちわびた家だ」
玄関に父さんが灯してくれたランプが掛けてある。二号はその明かりが届くところまでは、入ってこなかった。
「ねぇ、ティカ! 明日は遊んでくれる?」
「依頼が終わって時間があれば、だな」
二号の返事は連れない。時間があるときは遊んでくれるけど、用事があるときはさよならも言わずにどこかにさっさと言ってしまうんだ。
家のドアをあけて振り返ると、もう白い尻尾は揺れながら丘の方に遠ざかっていくところだった。一号のところに帰ったんだ。あまり暖かくない家だけど、きっと今晩も二人はくっついて一緒に寝るんだろう。
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