望月 鏡翠
2021-11-11 01:08:27
1235文字
Public 日課
 

#443 一号のこたえ

FF14創作/#毎日最低800文字のSSを書く

 一号と二号を最初に見つけて歓迎したのは僕なのに、二人が村に到着するとあっという間に大人に盗られてしまった。でもそれは二人が今日どこで寝るのかを決める話し合いで、僕の予想ではそれはそのまま二人の家になるはずだから、大事な話だ。
 お父さんとお母さんも、家を立てるときすごく悩んだって言っていた。だから少しの間、二人は大人に貸してあげることにした。
「申し訳ありません、せっかくご足労いただいたのに大したもてなしもできず」
 村長が頭を下げた。二人の家は姫林檎が生えている丘にある空き家に荷物を運び込んだ。あそこは収穫期に手伝いにきた人が泊まる場所だ。きっと気にいるような家がすぐに用意できなかったから、そこに泊まることになったんだ。
 それならうちの方が暖かいから、うちに止まればいいのに。
 僕は二人の今日の晩ご飯を一号と一緒に運ぶと言う重大任務を任せてもらった。二号はその間、村長と話すことがあると言ってどこかに行ってしまった。
「なあなあ、ケイム」
 一号にはちゃんとケイムっていう名前がある。もっと長くて難しい名前なんだけど二号がいつもケイム、ケイムって呼んでいるから僕も用があるときはケイムと呼ぶようにしている。
「なんですか、団長」
「二人はさ、これからずっとここにいるんだろ?」
「ずっとは、むずかしいですね。おれたちは、旅暮らしなので」
「わかってるよ、家がないんだろ。だから、ここに住めばいいんだって。今はあんなのだけどもっとちゃんとしたの建てられるし。僕が村長に頼んであげるよ」
 眉根をぎゅっと寄せた。それは怒っているときじゃなくて、困ったときの顔なんだ。
「おれたちは、家がないわけではないんです。おれには故郷があってそこには生まれ育った家があるし、ティカもよく家族の人たちにはお手紙を書いていますよ」
「家があるのに、なんで旅暮らしなんだ?」
「いく場所が、すごくたくさんあるんです。そこに行ってやらなくちゃいけないことがある。だから一つのところにじっとしていられない」
 一号は遠くを見た。丘の向こうに見ている空よりももっと遠くの、僕の知らない場所を見ていた。
 よくわからなかった。
「近くのことをすればいいんじゃないの? みんなそうしているよ」
 家に帰れなくなるくらい遠くのことは、遠くにいる人に任せておく。遠くのことに関わった結果、どこか他の街に泊まる人なんて年に一度いるかいないかだ。だから旅人が来たらみんな大騒ぎするし、村人が外泊をして戻ってきたら三日は宴会から抜け出せない。
「猟師をしてる爺ちゃんはたまに森に泊まるときあるけど、でも家にちゃんと帰ってこれる場所にしか行かないよ。ケイムもそうしろよ。遠くのことは遠くの人がやる。自分の家に帰れる場所のことだけやってればいいじゃん。そしたら、家で暮らせるよ」
「う〜ん、説明するの難しいですね」
 困った顔の一号を、なんで駄目なんだと問い詰めているうちに家に着いてしまった。