望月 鏡翠
2021-11-10 20:46:08
1304文字
Public 日課
 

#442 マーティンと愉快な仲間たち

FF14創作/#毎日最低800文字のSSを書く

 村に久しぶりのお客さんがやってきた。
 大人たちは毎日遊んでいるだけだと思っているけれど、僕たちは自警団だ。昼間はいろんなところに散らばって、村を見守っている。たまに逃げる野兎の白いお尻を追いかけるのに夢中になったり、かくれんぼや鬼ごっこをするために持ち場から目を放さなくてはいけなくなったりするけど、どこで何が起こっているのかは実は誰よりも早く詳しく知っているのだ。
 その日もお昼の後、おやつのかわりに畑の端に植えてある姫林檎を撮りに行ったときに、丘の向こうから歩いてくる二羽のチョコボが見えた。片方はすごく大きくてもう片方はその半分くらいの大きさしかない。
 すぐにわかった。僕たちの自警団の名誉団員、一号と二号だ。大人たちには色んな風によぶ。便利屋さんとか冒険者さんとか、なんとか団の人とか。
 ルガディンっていうすごく大きい種族と、ミコッテっていう尻尾がふかふかしている小さい種族だ。小さいって言っても、僕よりは大きいけど、でもやっぱり村の大人たちと比べると子供サイズだ。だから二人のことを最初は親子だと思っていて、お父さんが仕事に言っている間は暇だろうから遊んでやっていたのだ。
 もう大人だと聞いたときは騙されたとおもったけど、いいやつだったから僕は許してやって仲直りした。
 ミコッテはみんなその大きさなのと聞いたら、二号はミコッテの中でも小さい方らしい。
 二人が前に村に来たときからもう何ヶ月も経っている。あんなに楽しく遊んでいたのに、ある朝、起きたときにはもう村から立ち去っていて、さよならも言えなかった僕はちょっと泣いた。
 旅をしているらしい。それってどういうことと夕食の聞いたら、ずっと同じところにいないで移動していくことだと教えてもらった。家がないならここに住めばいいのにと言ったら、困ったように笑って今度聞いてみなさいと言われた。
 だから僕は一号と二号が来たら、そのことを聞いてみないといけない。
 走って近づくとやっぱりそれは、あの二人だった。姿が見えると二人はチョコボから降りた。そのまま抱きつこうとした二号の顔の真ん中に大きな傷跡ができていて、そのせいで知らない人みたいに見えて。怖くなったから途中で一号の方に方向転換した。
「チョコボの近くで走りまわると、あぶないですよ」
 一号のどこかのんびりとしたある喋り方は、前と変わらない。こっちも傷だらけだけど、それは前から変わらない。大きくて見た目はちょっと怖いけど、実は二号よりも何を考えているか分かりやすいし話しやすい。
 太ももにしがみ付いて足に乗っかると歩きにくそうにしながら、僕を載せたまま一歩前に出る。
「遅いぞ! 名誉団員なんだから、もっと早く僕に会いに来いよ」
「ごめんなさい。おれたちはまだちゃんと団員ですか?」
「あと一月遅れたら駄目だった」
「ギリギリでしたね、ティカ」
「船が遅れていたら、また下っ端からやり直さないといけない所だったな」
 肩を竦めた二号は、僕をみるときよりもこの前あった時よりもずっと優しい目をして二号を見ていた。やっぱり二号は、前に会った二号と、全然違う人に見えた。