ティカはチョコボを呼び寄せた。毛布やど必要なものをケイムヴォルクに投げ渡し、焚火に掛かっていた鍋を外した。倒れた女性の介抱をケイムヴォルクに任せて、安全確認も兼ねて水を汲みにいった。野営をした場所だから、水が近くにあった。汲み上げる前に、鼻を近づけた。異臭はない。一口含んで吐き出してみたが、味にも異常はなかった。泉の周囲を見て回ったが、小鳥や野生動物を含めて死体はない。大型の動物はともかく小鳥の体のサイズでも摂取して問題がないのなら、水に毒が含まれていたわけでないだろう。
(あれは、中毒症状に見えたが……)
空気に問題がなく、近くにある水場にも問題がないのなら、食べ物か。長い時間、火にかけすぎて焦げ付き固まったシチューを思い出す。調べるべきはあれだろう。だがまずは、生存者の究明が先だ。
ティカは、水を組むと焚火のところに戻った。
「大丈夫か?」
ケイムヴォルクに声をかける。女性に治癒魔法を施しているようだった。目の前のことに集中するあまり、声をかけるまでティカが戻ってきていることに気がついていなかったらしい。
「あ、はい。よく調べたら、頭に殴られた痕があって、たぶんそれで気を失っていたんだと思います。でも衰弱しているのは、一晩中外で寝ていたせいですね」
毛布で包まれ、ケイムヴォルクの体温と焚き火で体を温められたおかげか、女性は見つけたときより顔色が良くなっていた。殴られたという箇所は髪の毛をかき分けると乾いて血が固まっている。汲んできた水を二つにわけ、一方はそのまま清潔な布とともにケイムヴォルクに手渡しもう一方は火にかけた。
水を汲む際に摘んできた薬草を鍋に入れて煎じる。体を温める助けになるもの、滋養があるものを見繕って摘んできたのだ。魔法は使えないがこの程度の生活の知恵ならばある。程なくすれば、懐かしい薬湯の匂いがし始めた。子供のとき風邪を引くたびに飲まされた味だ。味はひどいが、効果はある。
彼女が飲んでくれるといいのだが。鍋をかき混ぜながら、女性の方をちらりと見る。
濡らした布で傷口を拭われると、その痛みのせいだろうか。女性は身動ぎをして、やがてうっすらとまぶたを開いた。
「ここ、は……?」
張り詰めていたケイムヴォルクの表情が安堵で和らいだ。
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