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望月 鏡翠
2021-10-31 22:53:26
1079文字
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日課
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#432 海沿いの旅4
FF14創作/#毎日最低800文字のSSを書く
荷物をまとめて旅を再開した。
街道に沿って道を歩いていると、連れ立って進んでいたはずのケイムヴォルクの声が後ろに置き去りになる。振り返ると彼を背に乗せたヒマルが、立ち止まってしまっていた。警戒心に満ちた目で進行方向をじっと見つめている。性格の違いから足を止めなかっただけで、ガーデニアもまた羽毛を逆立て体を緊張させていた。何かがある。そう乗り手に伝えてきている。
ヒマルも穏やかな性格だが軍用チョコボである。ケイムヴォルクに促されれば、ティカの隣まで足を進めた。
「何があったんでしょう」
まだ肉眼では察知できない何か。エーテルを読み取る力に長けていたら、丘の向こうにある何かも読み取れたかもしれないが、ティカの感覚はそこまで鋭くなかった。チョコボに感じ取れたのなら、匂いかあるいは音だろう。向い風であることを考えると、感じたのはなにかの周期だろうか。
「分からない。闇夜に紛れそびれた夜盗か、もしかしたらモンスターかもしれない」
進行方向に何らかの脅威の可能性が認められるのなら、その正体を見極めなければならない。増援を呼ぶ必要があるのか二人で排除できるのか、どちらにしろ見なかったふりをして迂回するという選択肢はない。街に繋がる街道の只中だ。
二人はいつでも戦闘に移行できるようにチョコボを降りた。ティカは剣を手にし、先行する。怪我をしたときにすぐに回復ができるよう、その耳元にケイムヴォルクが呼び出した妖精が纏わりついた。
姿勢を低くしながら近づいていくと、ティカの鼻にも微かな煙の匂いが感じ取れるようになった。だがそれは木が燃えるときの匂いで、火薬や生き物が燃やされる臭気が混じっているわけではない。むしろ煮詰めすぎたシチューのような微かな香ばしさすら混じっているように思えた。
丘の向こうに、露営するキャリッジらしきものが見える。キャリッジの重さから解放されて木の根元に結び付けられたチョコボが羽を震わせて盛んに暴れている。他に動くものはない。
すっかり火の落ち着いた焚き火から細く白く煙が立ち上っており、それがティカが感じ取った煙の原因だった。
血の赤色が見えなかったので、ひとまずティカはケイムヴォルクに合図をして近くに呼んだ。
「どう思う」
「静かすぎます。それなのに、チョコボがあんなに怯えている」
「同感だ」
もう日が登っているのに、動きだす気配がない。そして焚き火に薪を足した気配もない。
「ティカ、あそこ!」
野営地を観察していたケイムヴォルクが指を差す。その先を辿ると草むらの中に、倒れた人影が見えた。
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