隠しても仕方がありませんね。正直にお話します。当時、俺はグリダニアで仕事をしていました。下っ端で、弁当を買いにパシられるばかりだった。そんな中、彼女と出会ったんです。
俺は、彼女が好きでした。ずっと好きだった。でもだからといって何か行動をできたわけではなかった。俺は臆病で、彼女の店で弁当を買いに行くのが精一杯。話しかける勇気すらなくて、たまに店にいって、いつも元気な彼女が笑って声を掛けるだけで舞い上がるそんなやつだったんです。
だから俺は最後まで彼女の名前を知らないままだった。遠くから見守っていられればそれでいいかな、なんて思っていたんです。
あの日、彼女が一人で森に歩いて行くのをみた。危ないなと思ったんです。如何に都市が近いといっても外はモンスターが出る。だから、こっそりとついていきました。
あぁ、その顔、気持ち悪いと思いました? 確かに、お世辞にも気持ちがいい行動ではなかったですね。当時の私は、他にやり方がわからなかった。どうしたらいいのかわからずにそんな行動しかとることができなかった。
怖がらせてはいけないと、私は十分に距離を取ってついて行ったんです。
見ている前で、先を行く彼女に近づく影がありました。人ではなかった。あれは、たぶんダイアマイトだったと思います。恐ろしくて、よく覚えていませんが……。
声を、あげるべきでした。一言警告を発すれば彼女は助かったのかも、いや、あの状況ではきっと変わらなかったのでしょうね。あの悍ましいモンスターは彼女に忍び寄り、毒尾の針で後ろから差し貫いたのです。あっという間の出来事でした。
動くことができなかった。好きな人が目の前で殺されている様をみながら、私ができたことといえば隠れていた物陰で尻餅をついて震えているだけでした。モンスターが彼女を引き裂くのをみて、次に殺されるのは私かもしれないとそう思いました。怖くて怖くて、這うようにしてその場から逃げた。そう、私は逃げたんです。
彼女を好きだったのは嘘ではない。嘘ではないはずなんです。それなのに、私は彼女を見捨てて逃げた。遺体すらもどうなったのかわからない。
後悔しています。自分の弱さを呪いました。強くなりたかった。
だから、仕事をやめて武術を学びました。こうしてここで働くようになったのは、あのときの後悔を晴らしたいからです。私は彼女のような犠牲者をださないために、ここで人々の道行を守るために働き続けたいと思います。
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