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望月 鏡翠
2021-10-25 04:16:13
871文字
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日課
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#426 監視哨の男
FF14創作/#毎日最低800文字のSSを書く
異形を倒したティカは、彼女に執着していたという男の元に向かった。
先に彼女の方に向かったのは、その真意を確かめたかったからだ。この世にエーテルの残滓が止まってしまっただけで、真実を知って満足できるのならばそれで良いと思っていた。だが人に害をなす何かに成り果てているのなら、男のところに連れて行くわけにはいかない。死者の理屈のようなものををティカは理解していない。あの場所に縛られているのではなく、言葉を交わしたティカに取り憑いて図らずも男のところまで連れて行ってしまう可能性を考えていた。
例えその恨みがどれほど道理に適ったものであっても、死んだ人間が生きた人間を害することがあってはいけない。まして、人に害をなす異形に成り果てながらこの世に止まっているという状況は死んだ彼女にとっても良くはない。
件の男は幸か不幸か、グリダニア市街にはいなかった。勤務先であるという監視哨に向かう。実際に対峙した男は、女性の話から受けた印象と全く違っていた。自分の仕事に責任とやりがいを感じていて、勤務態度は良好。同僚は口を揃えて真面目でいい人間だと語った。
酒は飲まないという男を、それなら食事でもといって誘う。二人きりで話せる場所が必要だった。といっても森の中の監視哨に食堂があるわけではない。女性がかつて働いていた店で買ってきた弁当を持ってきたのだ。
どう切り出すべきか迷ったが、腹芸が得意ではないティカは結局質問をそのまま彼にぶつけることにした。
「この、弁当は」
男は目を見開いて、手渡した弁当をじっと見つめた。
「その店で働いていた女性のこと、覚えているか? 髪の長い、エレゼン族の女性だ。数年前から行方不明になっているんだが、君は
……
」
「違います」
ティカの言葉を、男は途中で遮った。弁当の上にぽつぽつと一粒二粒涙が滴り落ちる。
「行方不明などでは、ありません。彼女はもう亡くなっているんです。俺はそれを見ていた。見ている、だけでした」
嗚咽で言葉を途切れさせながら、彼はポツリポツリとそのときのことを語りはじめた。
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