黒衣の森でも、吹き抜ける風が冷たくなってくる頃合いだろう。みな、元気にしているだろうか。こちらは変わりなく過ごしている。変わりない、といっても、相変わらず依頼で毎日忙しくしているから、そちらに顔を出すことはできそうにない。冬の備えを手伝えないこと、申し訳ないと思う。妹や姉たちには私が謝っていたと伝えてくれないだろうか。
また前回の手紙のように長い長い怒りの言葉を、あなたにしたためさせるのは申し訳ないから彼女たちにも字を習わせて自分で書かせるのはどうだろう。
前回の手紙はとてもインパクトがあった。本みたいに分厚い封筒を受け取ったとき、私はなにか悪い知らせが入っているのか思って身構えてしまった。中身が帰郷しない私に対する姉妹全員の愚痴だったときは、むしろ面白くなってケイムに見せてしまった。
ケイムのことは、前の手紙にも書いたが覚えているだろうか。私と道程を共にしてくれている冒険者だ。彼がいてくれるから私はつつがなく旅が出来ている。今はクルザスの地に来ているのだが、こちらは驚くほど冷たい。こんな遠くまでついてきてくれるのだから得難い友を得たと思う。
イシュガルドの動乱のこと、もしかしたらそちらにも届いているかもしれない。私に危険はないから、安心してくれ。モンスターを倒したり、人の頼みごとを聞いて届け物をしたりする日々だ。この間は、雪の下に埋まっている骨董品を掘り出すのを手伝った。雪の下にある故郷の痕跡を探しているらしい。あの場所は大きく変わってしまったから、人の生活も思い出のままではないのだろう。
いつでも帰ることができる故郷があるというのは、幸せなことだな。冬の備えになるかわからないが、手紙にいくらかつけておくから足しにしてくれ。
落ち着いたら、一度そちらに戻りたいと思っている。そのときにはケイムのことも紹介させてくれ。私の、とても大切な人だ。
皆がこれからもずっと平穏に暮らしてくれることを願っている。
遠き地より、愛を込めて。
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