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普賢のまわりの人たち
ふっかつのじゅもん
お題:雲中子「辞世の句の用意はできたかい?」
ありがとうございました!
あのときの二人の短い会話。
「きみはそういうやつだよ」
「辞世の句の用意はできたかい?」
隣で作業していたスプーキーが呟いた。口調はいつもと同じ、ただ世間話ついでに聞いてみた、という軽さだった。
「辞世の句?」
ゴーグルを上げて訊ねると、ちらりと目だけでこちらを見て
「私たちだっていつ封神されるかわからないだろう?」
言われてみればそうだ。魂魄はばんばん飛んでるし、すでに周りは瓦礫だらけ、このラボもいつまでもつかわからない。物騒だけど心の準備はしておいたほうがいいかもしれない。
言いたいことも残したいものも、山のようにあると思っていたけれど、いざ考えはじめると案外思いつかない。まずは哪吒のこと、あとは宝貝のこと。うまく言うのは難しいな。
考えあぐねて「きみは?」と訊ねると、雲中子はにやりとして
「
曼柁茄
マンドラゴラ
、
瑶草
ようそう
、
養神芝
ようしんし
を同量で」
「
……
なんだそれ。薬草?」
「そう。すべて架空のね」
「なんだってそんなものを」
「復活の呪文さ。それらを同量合わせることで、死者を蘇らせる妙薬となる」
「そんなわけないだろう」
仙人の力や秘術をもってしても、死者を蘇らせるなんて不可能だ。眉を寄せる太乙に、雲中子はくつくつと笑った。
「真実かどうかは重要じゃない。私の死後、だれかが解読を試みて混乱すると思えば楽しいだろう」
太乙は盛大にため息をついた。そんなのを辞世の句にするなんて、趣味が悪すぎる。
「
……
そうだった。きみはそういうやつだよ」
「理解してくれてよかった。ついでにさっさとそいつを直してしまおうじゃないか」
指さした先で、哪吒がじっとこちらを見ている。無駄口叩いてないでさっさと直せと訴える目だ。
戦いは佳境を迎えている。無駄口を無駄口で終わらせるために早く加勢しなければ。
「
曼柁茄
マンドラゴラ
、
瑶草
ようそう
、
養神芝
ようしんし
よりも、きみの修理は効くんだろう?」
なるほど、これが復活の呪文。
「わかってる。辞世の句を考えるのはその後だ」
それだけ言ってゴーグルを下げた。
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