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最上階

玉普の事後メシ。現パロです

皺ひとつなく敷かれたテーブルクロスは窓からのやわらかな自然光を受けて白さを際立させていた。所狭しと並べられた皿には、生ハムや季節のフルーツが美しく盛り付けられていて、籠にはクロワッサンをはじめとするパンが数種類。絞りたてのオレンジジュースが小さめのグラスの中できらきら輝いている。
「少しでも食べよう。昨日から何も食べていないだろう」
玉鼎は取り皿にパンを一つと数枚のハム、サラダを取り分ける。差し出されたそれを、普賢は黙って受け取った。
「私はコーヒーだが、お前は」
しばし考え、「紅茶」と答える。瀟洒な花柄が描かれたポットから、こぽこぽと音を立てて紅茶がカップに注がれる。
「食べなさい」
クロワッサンをちぎって口に運びながら、玉鼎がそう呼びかけた。言われるまま、普賢は紅茶に口をつける。ほどよく冷めたそれは柑橘系の香りで、霞みがかったような頭の中をクリアにしていく。シルバーの楊枝を刺した苺を小さく齧る。春の味だ、と思った。
「私は10時から役員会議だから先に出る。お前はゆっくりしていくといい。体調不良だと伝えておこう」
飲み干したカップに2杯目のコーヒーを注ぎながら、玉鼎は言った。こちらを見向きもしないその横顔を、普賢はじっと見つめる。一介の会社員である普賢にとって、まるで雲の上にいるようだった。高級ホテルのスイートルームは、一人暮らしのアパートよりもずっと広く、窓の外には今まで見た中でもっとも高い位置からの眺めが広がっていた。朝食にこれほど豪華なものを選ぶことは今までなかったし、それをルームサービスに運ばせるなんて、考えたこともなかった。
(この人にとっては日常なのだろうな)
世界が違う、と。逢瀬を重ねるごとに思う。それはきっと、朝食だけでなく、
……なにか余計なことを考えているな」
口の端だけで笑いながら、玉鼎は口を拭って立ち上がった。
「昨夜もそうだったが」
さっと頬を染めた普賢の頭を軽く撫でてから、ネクタイを首から垂らし、ジャケットを羽織る。
「なにも心配しなくても。すべて私に委ねればいい」
ではあとで。言い残して扉を閉める。

一人残された普賢は深いため息をついて、カップをテーブルに戻した。