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連鎖

お題:「花が咲くように」で始まり、「僕も君も終わり方を知らない」で終わる物語

花が咲くようだね。
閨の中で互いの熱をわけ合う合間に、彼はそんなひと言を囁いた。
まるで似合わない言い草に、そんなにきれいでも可憐でもない、と返すと、喉の奥で笑われた。花がきれいで可憐? 本当にそう思ってる?
耳元を擽る声も、背を辿る指先もいつになく意地悪で、たまらず普賢は身を捩る。上がる息を彼は舌先で掬い上げる。

開花は命の叫びだ。ここで終わらせない、未来へつなげたいという、どこまでも強欲で、鮮烈で他者を惹きつけてやまない断末魔の叫び。狂おしい色と形、脳にまで届く香りは、何もかもを麻痺させて、溢れんばかりの蜜で、欲望と欲情を誘う。そして相手の五感に、自分のものだという印を刻み込ませる。
そうなのか、と普賢は思う。だからこんなにも求めてしまうのか。求められると拒めないのは、きっと魂に刷り込まれているのだろう――花に群がる蜂のように。
普賢、と低い声が耳に滑り込む。目を開けると、闇と同じ色の瞳に捉えられた。
この花を開かせるまでに、私がどれほど心を尽くしたと思っている? 固く閉じた蕾をほころばせるために、水をやり光をあて、肥料を与え、そして壊さないよう少しずつ、少しずつ葉に茎に触れてきたんだ。
では、咲いたらもうおしまいだね。花弁が落ちればきみは僕を手放すんだろう?悔し紛れにそんな減らず口を叩けば、そんなことはさせない、とやや強い口調で阻まれた。
言っただろう、花は印だって。私のものだって、みんなに知らせるのさ。言って肩にひとつ印を落とす。終わりのない命の連鎖の。尽きることのない独占欲の。

終わりにしたいと思っても、僕も彼もその方法を知らない。このままきっと地に落ちて朽ちていくんだ。