MN*B
2023-03-30 00:53:33
514文字
Public 即興二次創作小説
 

エンドロール一本分 【真人】

時間制限:15分 ジャンル:呪術廻戦 お題:糜爛と映画館

 ハロウィンの日に、ホラー映画なんて。物好きだなぁ、なんてことを思う。
 前にあるスクリーン以外は暗い、そんな大きな箱の中を歩く。階段を昇りながら、以前行ったことのある映画館とはまるで違うなぁ、と辺りを見回した。
 外のことなんて知らずに、大人しく、お行儀よく、静かに、前を見つめる頭が段々に並んでいる。それが途切れた一席を見つけ、何気なく座った。

 映画の内容はよくわからない。ここに来るまでに目についたポスターだとか案内板だとか、おそらくホラーだということはわかっている。『――〝呪い〟が目を覚ます』、そんな煽り文句が書かれていたから、俺の気を引いただけだった。

 もう終盤に差し掛かっていたらしい。結局、内容がよくわからないまま、スクリーンにはエンドロールが流れ始めていた。明るい黒地の背景に、暗い黒の人影が映った。席から立ち上がり、静かに出口へと向かっていく。それに便乗するように、俺も席を立った。

 周りも気にせず大股で歩き、先に立ったはずの観客より先に、出口の扉へとたどり着く。未だ暗い通路に、何も知らない人間がやってくる。

「あーあ。観ていけばよかったのに」

あともう少しくらい楽しめただろうにね。