大人しくしない子にフルコースで御仕置した話(※没作品)

ネタ借りるとか言ってこのざまでした。ごめんなさい。うちよそオスラッテでオスラが熱出してる。

 確かに、微熱程度だから平気だろうと思って一人で魔物討伐のリーヴに行き、任務を無事こなしたはいいが家に帰ってきた途端に熱が上がって玄関でぶっ倒れたのは申し訳ないと思っている。
 しかし、目が覚めてみればどうだ! 白い猫の同居人が食事として用意されていたのは確かに美味しそうな食べ物だった。しかしベッド脇のサイドテーブルに並んでいるのはカスタードプリン、クレームブリュレ、カタラーナ……どれもこれも甘い物だらけであった。香ばしいシュガーと卵の香りに包まれた部屋の中で、皿を並べてニコニコと笑うクルウは、何故かご機嫌に白い尻尾を振っている。
「さて、どれから食べるか? 熱出てるから冷たいのがいいかなー」
「いや、あの」
「せっかく前にフリーカンパニーで教えてもらったとっておきのレシピだからなー。でーきーたーら、全部食べてほしいなー」
「だから、俺は……
「あとでおすそ分け用にと思っていっぱい作ってあるから。おかわりもしてほしいなあ」
「う……っ」
 こいつ、俺が甘い物が苦手なのを分かっていて、あえてフルコースを出している……



「で、何か言うことはあるか?」
……勝手に出かけてすいません」
「いや、そうじゃないだろ?」
……体調悪いのに出かけて」
「はい違う」
「じゃあ、なんて言えばいいんだよ」
「出かける以前に大人しく寝てろってことだよ!」
 わあ理不尽。しかし食事や薬は既に彼の手の中。結局三種類のプリンセットからカスタードプリンを選択して一口だけ食べ、その口直しに苦い薬を飲むというなんとも言えない気持ち悪い味わいを体験することになった。正直頭や腹の中がグルグルと回っている気がする。
「次同じことやった時のために、薬もシロップ並みの激甘のやつを作ろうかな」
……勘弁して」
 ちなみに大量のプリンセットは俺が体調を崩す云々関係なく、元々フリーカンパニーのおすそ分け用として作っていたらしい。たまたまというか、運がなかった。
「じゃあもうさっさとそれ渡しに行けよ……
 諸々の世話を受けてから俺はもう動く気にはなれず、寝床にぐったりと力を抜いて横になる。頭まですっぽりと布団を被ってから愚痴を吐くように言ってやっても、彼はあっけらかんとした声で答えた。
「具合悪い人が家にいるのにほっといて行くわけないだろ。これはあとで取りに来てもらってもいいし。ついでにお前が暫く勝手に出かけたりしないようにみんなに話して根回ししとかないとな」
「ヴゥ……
「唸ったってダメだぞ。ほら病人は大人しく寝とけ」
 キツイ言葉とは裏腹に布団越しでポンポンと優しく叩かれてしまい、自分でも驚くほどあっという間に眠りに落ちていた。