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倉木
2023-12-17 16:07:04
2141文字
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Rot
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RD
Rot亀
侵入者防止のセキュリティを抜けると、外気に左右されない空調システムは冷え切っていた身体には沁みる温かさだ。
梯子から最後の4段を飛び降りれば、アーム越しで部材が続けて金属音を立てた。
陽の光が入らない地下は光源がないと真っ暗だ。
しかし暗視スコープがある分歩行には困らないし、長年通っている道をよっぽど間違えるはずもない。
ラボへ足を向けたその時、突然ぱっと明るくなり視界が真っ白になる。
「ドナ」
「うわあっ!」
「うわぁあっ!」
反響するような大きな声が出て両手を塞ぐ。
慌てて持っていた部材を取り落としたせいで乱雑な音が続いた。
飛び上がった心臓の音がとてもうるさい。
耳障りな音が止んでしばらくして、呼吸すら止めて耳をすましたがそこから音が続くことはなく。
どうやら皆深い眠りについていたようで誰かが起きる気配もなかった、そういえば今日はミケランジェロが遅くまでゲームをするとか言っていたから疲れて寝た直後なのかもしれない。
小さく息を吐いて、ようやく慣れてきた視界で同じように口を覆った騒ぎの元でに睨みつける。
ドナテロよりもずっと上にある目は面白いくらいに泳いでいた。
「いや、えっと
……
ドナに会いに行ったらいなかったから、ちょうど探しに行こうと思って」
「
…
見張ってたの?」
眉を吊り上げたが、慌てて両手を振った。
「たまたまだよ!たまたま!レオとかマイキーと違って変な騒ぎは起こさないと思ってるけど、ほらっ何があるかわかんねぇし
…
」
元より嘘をつけるようなタイプではないし、その言葉は本当なのだろう。
そうもごもごとしているが、その問題児と比べられても褒められている気はしない(もっともその点だけでそれ以外の行動についてはあまり信用されていないのだけれど、そんな思考をくみ取れるはずもなかった)。
「それで、どこ行ってたんだ?」
罪悪感があるのか少し躊躇いがちに聞いてくる。
あまりにも申し訳なさそうな態度に怒り続けるのも疲れてきたので、溜息とともに答えることにした。
「ちょっと部材が足りなくなったから調達しに行っただけ」
飛び散った部品を拾い上げて背負い直した荷物に、ラファエロは納得してくれたようだ。
「言ってくれればついていったのに」
「すぐ戻るつもりだったよ」
説教はごめんだと再度睨みつければ途端に口ごもる。
「そうは言ってもよ、心配だし
…
」
自分が捻くれた性格をしていることは自覚してる。
レオナルドくらい皮肉めいた返しをされれば言い合いにできる、ミケランジェロくらい素直なら何かを言い返す気持ちすら失せる。
それなら、ラファエロ相手ならどうだろうか、その解は未だにわからない。
だからこそ、時折投げかけられる言葉のまっすぐさに居心地が悪くなるときがあった。
直球すぎる感情はストレートに心臓を貫いてしまい、結果思考より先に身体が反応してしまうのだ。
「
……
次があったら考えとく、じゃあおやすみ」
赤くなっているであろう顔を隠すように、そう言い捨てて持っいた荷物を抱え直した。
ラファエロの優しさは家族に均等に向けられたものだってわかってる。
でも、どうにも自分が特別な扱いを受けているようで、それにどこか嬉しいと思ってしまう自分が恥ずかしい。
自覚してしまえばもっと自分だけを見て欲しくなる、構ってほしくなる。
そんな独占欲から嫉妬の感情は無意味だと、そう何度も自分に言い聞かせてきたし、これからもそうだろう。
「
…
まだ何かあるの?」
さっさといなくなろうとしたのに、立ったまま動かないラファエロが気になってしまって声をかけた。
声をかけられるとは思ってなかったらしいラファエロが大げさに驚いてみせ、そして何やら言いよどんでいる様子だった。
今日のラファエロはいつにもなく歯切れが悪い。
「荷物重そうだし、手伝ってもいいか
…
?」
たっぷりの時間をかけて、出てきたのはそんな言葉だった。
なんだいつものおせっかいか、それなら別にいつものようにずかずかとくればいいのに。
「ふたりだけって久しぶりだし、もうちょっと一緒にいたいって言うか」
思わず勢いよく振り向くと、顔を鉢巻と同じかそれ以上かってくらい真っ赤になっているラファエロがいた。
なんでそんな、恥ずかしいなんて思うようなこともないだろう。
特別に意識していなければそんなのただの親切心でしかないのに。
彼の行動に他意はないんだ、他意は、そう言い聞かせても身体は素直で次第に頬が緩んでいく。
「
……
好きにしたら」
ぱっと輝く笑顔も、嬉しそうに寄ってくる仕草も。
アーム越しに受け取った荷物はドナテロにとって両手いっぱいのものだったがラファエロにとってはなんてことない重さだったらしい。
ラボに戻るまでの短い距離で色々考えようとしても、今思いつくのはいかにこの時間を長くできるかというプランの推敲しかできなかった。
礼と称して熱い飲み物でもいれてやろうか、冷めるのに相当時間がかかるような、熱々のやつ。
そんな奥手と無自覚のまじりあった恋路は一生平行線のまま、見かねた兄弟からお前らいい加減めんどい、と一蹴されるまで続くのだった。
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